ドイツのオペラ雑誌「オペルンヴェルト=Opernwelt」が今年の「オブ・ザ・イヤー」を発表した。「オブ・ザ・イヤー」は欧米の音楽関係の評論家や記者50名の記名投票で選ばれている。2018年の音楽祭で初演され、2019年の音楽祭でも上演されたザルツブルク音楽祭の《サロメ》のプロダクションに対する評価が高く、「プロダクション」、「演出家」、「歌手」で「オブ・ザ・イヤー」を獲得している。
また、今年の「指揮者」はドイツの女流指揮者、ヨアナ・マルヴィッツ(Joana Mallwitz)が選ばれた。ヒルデスハイム生まれの33歳。ハノーファー音楽演劇大学で学び、2014/2015シーズン、27歳でエアフルト劇場のGMD(音楽総監督)に就任、その後、2018/2019シーズンからニュルンベルク州立劇場のGMDを務める俊英。劇場のワーグナー《ローエングリン》、プロコフィエフ《戦争と平和》の公演を指揮、その成功が評価された。主な受賞者は以下の通り。
[歌手]アスミク・グリゴリアン(Asmik Grigorian)
※リトアニアのソプラノ歌手。ザルツブルク音楽祭《サロメ》のサロメを歌い、その歌唱に24人が投票(過去最多得票)。
[指揮者]ヨアナ・マルヴィッツ
※ニュルンベルク州立劇場音楽総監督。ワーグナー《ローエングリン》、プロコフィエフ《戦争と平和》の上演を指揮。
[若手アーティスト]リーゼ・ダヴィドセン(Lise Davidsen)
※ノルウェーのソプラノ歌手
[オペラ・ハウス]ライン国立オペラ(Opéra national du Rhin)
※ライン国立オペラはフランスの、ストラスブール、コルマール、ミュールーズの3都市で興業
[オーケストラ]キリル・ペトレンコ&バイエルン州立歌劇場管弦楽団
※8回目の受賞、連続6年受賞。
[コーラス]シュトゥットガルト州立歌劇場合唱団
※12回目の受賞
[プロダクション]ザルツブルク音楽祭《サロメ》
※ロメオ・カステルッチの演出で、2018年の音楽祭で初演
[演出家]ロメオ・カステルッチ(Romeo Castellucci)
[舞台デザイン]ロメオ・カステルッチ(Romeo Castellucci)
[衣装]ウルスラ・クドルナ(Ursula Kudrna)
※初受賞。ザルツブルク音楽祭のモーツァルト《魔笛》とベルリン州立歌劇場のベアト・フラー《すみれ雪=Violet Snow》の衣装などで評価を集めた。
[初演]クルターグ・ジェルジュのオペラ《勝負の終わりに=Fin de partie》
※92歳になるハンガリーの作曲家クルターグ初のオペラで、2018年11月にミラノ・スカラ座で初演
[再発見]アルベリク・マニャールのオペラ《ゲルクール=Guercœur》
※2019年6月にドイツ・オスナブリュック劇場で蘇演。マニャール(Albéric Magnard, 1865-1914)はフランスの作曲家。《ゲルクール》は1901年の作品。
写真:Joana Mallwitz / Nikolaj Lund
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