ベルリン発 〓 バレンボイムの功績に対して、ベルリン州立オペラが「名誉会員」、ベルリン・シュターツカペレが史上初の「名誉首席指揮者」の称号

2024/04/27

1992年から2023年まで長きにわたり、ベルリン州立オペラ(Staatsoper Unter den Linden)の音楽総監督を長く務めたダニエル・バレンボイム(Daniel Barenboim)に対して、州立オペラが「名誉会員」、座付きオーケストラのベルリン・シュターツカペレが史上初の「名誉首席指揮者」の称号を贈った。

バレンボイムは1942年、アルゼンチンの首都ブエノスアイレス生まれの81歳。両親がロシア出身のユダヤ系移民という家庭で育ち、若くしてピアニストとして名声を確立した後、1970年代から指揮をスタート。1975年から1989年までパリ管弦楽団の音楽監督を務めるなど、徐々に大物指揮者として頭角を現した。

1991年にはシカゴ交響楽団の音楽監督に就任(-2006)。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団とは2009年、2014年、2022年の「ニューイヤー・コンサート」を指揮している。一方、客演を重ねていたベルリン・フィルハーモニー管弦楽団からは、指揮者デビュー50年に当たる2019年にオーケストラ初の「名誉指揮者」の称号を授与されている。

ベルリン・シュターツカペレとは、劇場によると、オペラやバレエなど約760の音楽劇公演と850以上のコンサートを指揮。また、世界90カ所のオペラハウスやコンサートホールで行われた客演公演を450回以上指揮している。オーケストラの450年の歴史の中で、これまでオトマール・スイトナー、ピエール・ブーレーズ、ズービン・メータに「名誉指揮者」の称号を贈っているが、「名誉首席指揮者」の称号を授与するのは初めて。

授与に当たり、州立オペラの芸術監督を務めるマティアス・シュルツは「音楽総監督として、彼は常にオペラとコンサートの結びつきを重視し、これらの芸術分野の相互作用を支持してきました」。オーケストラは「ともに過ごした時間、共有した道、共有した歴史、その意義が完全に理解されるのは、おそらくこれからでしょう」とお祝いと感謝を述べている。

バレンボイムは「幸せと感謝の気持ちでいっぱい。特に名誉首席指揮者の称号については光栄であり、大きな感動に揺さぶられました。30年以上にわたり、州立歌劇場は私の音楽的故郷であり、劇場、オーケストラの音楽家たちは私の音楽的家族でした」と感謝の言葉を述べている。

ただ、2022年2月に脊椎手術を受けた後、完全な現場復帰はかなわず、最近も1月のベルリン・シュターツカペレの北米ツアー、この5月1日の「ヨーロッパ・コンサート」を中心としたベルリン・フィルハーモニー管弦楽団との公演の指揮もキャンセルしている。

写真:Deutsche Grammophon / Holger Kettner


  もっと詳しく ▷


関連記事

  1. オスロ発 〓 ノルウェー放送管の首席指揮者に韓国系米国人のホリー・ヒョン・チェ

  2. トロント発 〓 カナディアン・オペラ・カンパニーが総監督ペリン・リーチの退任を発表、3シーズンでの退任にさまざまな憶測

  3. ロンドン発 〓 アウシュリネ・ストゥンディーテが代役で《エレクトラ》に出演、前倒しでロイヤル・オペラにデビュー

  4. ロンドン発 〓 クラシック音楽界の5つのレーベルがウクライナ人道支援のための募金活動

  5. モスクワ発 〓 ボリショイ劇場の総支配人らモスクワの芸術家がプーチン大統領に「ウクライナでの特殊作戦」停止を求める請願書を提出

  6. フランクフルト発 〓 フランクフルト歌劇場が2020/2021シーズンの公演ラインナップを発表

  7. ロンドン発 〓 ネトレプコとの共演断られ、夫君のエイヴァゾフが新制作のロイヤル・オペラ《イル・トロヴァトーレ》を降板

  8. ロンドン発 〓 英政府が「女王誕生日の叙勲」リストを発表

  9. シカゴ発 〓 音楽監督の報酬、全米一位はシカゴ交響楽団のムーティ

  10. ザルツブルク発 〓 暴力事件で謹慎中のガーディナー、来夏のザルツブルク音楽祭で現場復帰か?

  11. コブレンツ発 〓 ライン州立フィルの首席指揮者にマルゼナ・ディアクン

  12. アムステルダム発 〓 コンセルトヘボウ管が26日から活動再開

  13. ニース発 〓 ニース・フィルの首席指揮者にリオネル・ブランギエ

  14. ベルリン発 〓 ベルリン・ドイツ・オペラが新制作の《フランチェスカ・ダ・リミニ》をライブ・ストリーミング

  15. パリ発 〓 11月開催のロン・ティボー・クレスパン国際音楽コンクールが早くも中止を決定

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。