ウィーン発 〓 指揮者のベルトラン・ド・ビリーが国立歌劇場の名誉会員に

2024/12/25

フランス系スイス人の指揮者ベルトラン・ド・ビリー(Bertrand de Billy)がウィーン国立歌劇場の名誉会員に任命された。12月22日のオッフェンバック《ホフマン物語》の公演後、出演者と観客が見守る舞台上で授与式が行われた。国立歌劇場デビューは1997年で、この夜は280回目の指揮台だったという。

ド・ビリーはパリ生まれの59歳。パリ国立高等音楽院でヴァイオリンを学び、オーケストラの奏者として活動した後、指揮者に転身。1996年にウィーン・フォルクスオーパーの第1指揮者兼音楽監督代理に就任して地歩を固めた。その後、スペイン・バルセロナのリセウ大劇場の首席指揮者(1999–2004)、ウィーン放送交響楽団の音楽監督(2002–2010)を歴任している。

国立歌劇場では《ホフマン物語》以外に、モーツァルト《魔笛》、ヴェルディ《椿姫》、マスネ《マノン》、プーランク《カルメル派修道女の対話》、ヴェルディ《オテロ》、ヨハン・シュトラウスⅡ《こうもり》、ワーグナー《さまよえるオランダ人》を指揮。今年の大晦日の《こうもり》も指揮する。

本人のコメント
30年前に初めてウィーンを訪れた時、この街がその後の私の人生のあらゆる面でこれほど大きな意味を持つことになるとは、想像もできませんでした。ましてや、1997年1月13日に、かなりの緊張を覚えながら初めて国立歌劇場のオーケストラ・ピットに入ることができた時、そこが私の芸術の故郷になったと言えるようになるとは、想像もできませんでした。私はこれまで世界の主要なオペラハウスのほぼすべてで指揮する機会に恵まれてきましたが、それだけに、国立歌劇場のような場所は他にないということを、より一層理解しています。他のどの劇場とも、どの分野の同僚とも、どの合唱団とも、そして何よりも、他のどのオーケストラとも比較できないのです。オーケストラピットに入って、ここで仕事ができることが特別なことだと感じなかった夜は一度もありません。この素晴らしいオペラハウスから名誉会員の称号を授与されたことは、私の人生で想像しうる限り最高の栄誉であり、感謝してもしきれません。


写真:Wiener Staatsoper / Michael Pöhn


関連記事

  1. パリ発 〓 バスティーユ歌劇場が初の大規模改修工事で3年間休館、有力紙が解体を提案

  2. 東京発 〓 第33回「高松宮殿下記念世界文化賞」、音楽部門はピアノのクリスチャン・ツィメルマン

  3. 東京発 〓 第3弾のラインナップを発表、新国立劇場の「巣ごもりシアター」

  4. ワシントン発 〓 ヨーヨー・マがロシア大使館前の歩道で独り演奏、ウクライナ侵略に抗議

  5. オスロ発 〓 クラウス・マケラが任期1年残してオスロ・フィルの首席指揮者を退任

  6. ミュルーズ発 〓 ヴァイオリンのクリストフ・コンツがフランス・ミュルーズ響の首席指揮者に

  7. ミュンヘン発 〓 2021年の「ゲーテ・メダル」が作曲家の細川俊夫らに

  8. ダブリン発 〓 RTÉ国立交響楽団が首席指揮者にスペイン出身のハイメ・マルティーン

  9. ボローニャ発 〓 ボローニャ市立歌劇場が音楽監督にオクサーナ・リーニフ

  10. プラハ発 〓 チェコ・フィルの音楽監督セミヨン・ビシュコフがロシア批判の声明

  11. シドニー発 〓 シドニー響の次期首席指揮者にシモーネ・ヤング

  12. ウィーン発 〓 アルベナ・ダナイローヴァが2024年元旦の「ニューイヤー・コンサート」のコンサートマスターに

  13. ウィーン発 〓 ウィーン・フィル、6月はネルソンスとどっぷり、ヨーロッパ・ツアー、サマー・ナイト・コンサートも

  14. ウィーン発 〓 今年の「オーパンバル」はド・ビリーが指揮、サエンス、ガランチャ、ベチャワが出演

  15. ビロビジャン発 〓 ロシアのウクライナに対する武力侵攻を批判する動画を投稿、逮捕されたロシアのピアニストがハンガー・ストライキで死亡

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。