ドイツの指揮者ジークフリート・クルツ(Siegfried Kurz)が7日、故郷ドレスデンで亡くなった。92歳だった。旧東ドイツのドレスデン国立歌劇場、ベルリン国立歌劇場の音楽総監督、首席指揮者などを歴任した東ドイツのオペラ界の重鎮。作曲家としても活躍した。
1930年、ドレスデンの生まれ。ドレスデン音楽院(現在のカール・マリア・フォン・ウェーバー音楽大学)でフィデリオ・フリードリヒ・フィンケに作曲、エルンスト・ヒンツェに指揮法、エドゥアルト・ザイフェルトにトランペットを師事。在学中の1949年からドレスデン国立歌劇場の劇音楽担当の指揮者として音楽活動を始めた。
1960年からはオペラの指揮者陣に加わり、1971年から1975年まで音楽総監督(GMD)を務め、1975年から1983年にかけて芸術監督も務めた。その後、1983年から1988年にかけてベルリン国立歌劇場の首席指揮者も務めた。
カペルマイスター(楽長)タイプでレパートリーは極めて広く、数多くのオペラを指揮。また、20世紀のオペラにも強い関心を寄せ、当局との間で緊張を孕みながら、シェーンベルク《モーゼとアロン》、ウド・ツィンマーマンの《レヴィンの水車》といった作品の上演に取り組んだ。
指揮者活動のかたわら、1950年代から1970年代にかけて作曲活動にも取り組み、トランペット協奏曲をはじめ、管弦楽を中心に幅広いジャンルに作品を残している。また、1979年から母校の作曲科で教鞭も執っている。
1973年にドレスデン国立歌劇場管弦楽団(=ドレスデン・シュターツカペレ)を率いて初来日。1978年にオーケストラと再び来日し、1981年には歌劇場の引っ越し公演で《薔薇の騎士》と《魔弾の射手》を指揮した。ベルリン国立歌劇場の1987年の引っ越し公演では《後宮からの逃走》や《サロメ》を指揮している。
録音も数多く、中でも、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団を指揮して1978年に録音されたチャイコフスキーの交響曲第5番の録音などが名盤として知られる。
写真:Sächsischen Staatstheaters
訃報 〓 ジークフリート・クルツ(92)ドイツの指揮者
2023/01/11
【最終更新日】2023/02/05
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