ハイデルベルク発 〓 ピアニストのイゴール・レヴィットが「ハイデルベルクの春」音楽祭の共同芸術監督に就任

2022/04/08

反ユダヤ主義への反対など、政治的な発言で知られるピアニストのイゴール・レヴィット(Igor Levit)が今年で25周年を迎えたドイツの「ハイデルベルクの春」音楽祭の共同芸術監督に就任した。任期は5年。音楽祭には2011年から出演、2013年には「アーティスト・イン・レジデンス」を務めている。

レヴィットは1987年、旧・ソ連ニジニ・ノヴゴロド生まれの35歳。伝説のピアニストとして知られるゲンリヒ・ネイガウスの孫娘でオペラ歌手だった母の手ほどきを受けて3歳からピアノを始め、8歳だった1995年に家族とドイツのハノーファーに移住。ザルツブルク・モーツァルテウム音楽院を経てハノーファー音楽大学で学んだ。

政治問題にも積極的に関わり、2018年には、ドイツのレコード賞「エコー賞」ポップス部門の受賞グループの楽曲に反ユダヤ主義的な歌詞が含まれていることに抗議し、2014年に受賞していた賞を返上。それがきっかけとなり、「エコー賞」は「オーパス・クラシック」として再出発することになった。

2019年から母校のピアノ教授を務め、ベートーヴェン生誕250周年の2020年にはピアノ・ソナタ全集をリリース、それがグラミー賞にノミネートされた他、サティのヴェクサシオンを15時間にわたってライブ配信。年末にはノーベル賞授賞式コンサートのソリストに招かれている。

写真:Felix Broede


    音楽祭プロフィールはこちら ▷


関連記事

  1. 訃報 〓 オットー・シェンク(94)オーストリアの演出家

  2. オスロ発 〓 ソニア王妃国際音楽コンクールが閉幕

  3. ジュネーブ発 〓 第75回「ジュネーヴ国際コンクール」のチェロ部門で、ドイツ在住の上野通明が優勝

  4. 訃報 〓 ヴィルジニア・ゼアーニ(95)ルーマニア出身のソプラノ歌手

  5. ミラノ発 〓 スカラ座のプッチーニ没後100年記念コンサートがピアノ伴奏に、オーケストラらのストライキで

  6. サンティアゴ発 〓 アンドレ・リュウ率いる“ヨハン・シュトラウス・オーケストラ”がチリで立ち往生

  7. 訃報 〓 ルート・ヘッセ(87)ドイツのメゾ・ソプラノ歌手

  8. ワルシャワ発 〓 ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団の次期音楽監督にアンドレイ・ボレイコ

  9. ミュンヘン発 〓 ミュンヘン・オペラ・フェスティバル、2019年の新作は《サロメ》と《アグリッピーナ》

  10. ハンブルク発 〓 ハンブルク交響楽団がマルタ・アルゲリッチとの公演をライブ配信

  11. 浜松発 〓 浜松国際ピアノ・コンクールが第11回の開催中止を発表

  12. フランクフルト発 〓 hr響の次期首席指揮者にアラン・アルティノグリュ

  13. クイーンズランド発 〓 クイーンズランド響が首席指揮者を務めるウンベルト・クレリチとの契約を延長

  14. 東京発 〓 都響の新たなコンサートマスターに水谷晃

  15. ミュンヘン発 〓 ソプラノのニーナ・シュテンメにバイエルン州から「宮廷歌手」の称号

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。