ミュンヘン発 〓 イーゴリ・ゼレンスキーがバイエルン州立バレエ団の監督を突然辞任

2022/04/08

ロシアを代表するバレエ・ダンサーの一人イーゴリ・ゼレンスキー(Igor Zelensky)が4日、ドイツ・ミュンヘンを本拠地とするバイエルン州立オペラのバレエ団の監督を突然辞任した。ゼレンスキーは2016年からその任にあり、退団の理由について本人とバレエ団は家庭の事情と発表している。

ゼレンスキーは1969年、ロシア南部クラスノダール生まれの52歳。1988年に旧キーロフ・バレエ団(現在のマリインスキー劇場バレエ団)に入団、1991年にプリンシパルに昇格した。1992年から1997年にニューヨーク・シティ・バレエ団のプリンシパルを兼任、2008年には「ロシア人民芸術家」を受章している。

その後、ノヴォシビルスクの国立オペラ・バレエ劇場の芸術監督に就任。2011年からはモスクワのスタニスラフスキー&ネミロヴィチ=ダンチェンコ記念国立音楽劇場の芸術監督も兼任した。

州立オペラのセルジュ・ドルニー総裁は「ゼレンスキーと彼の家族の幸せを願っています。この数年、ゼレンスキー氏は、バイエルン州立バレエ団の国際的な魅力を高めてきた。そのおかげで、私たちは自信を持って将来を見据えることができます」と述べている。

ただ、関係者によると、辞任の背景には、州政府からロシアのプーチン大統領との関係について声明を出すよう求められたことがあるとされる。ゼレンスキーはクリミア半島に文化センターを作る目的で大統領によって設立された「国家文化遺産財団」の顧問を務めており、それについて、ドイツのメディアによる取材が進んでいた。

写真:Bayerische Staatsballet


関連記事

  1. ミラノ発 〓 ウクライナ領事、スカラ座に《ボリス・ゴドノフ》の上演取り止めを要請

  2. トゥルク発 〓 ヨン・ストルゴールズがトゥルク・フィルの首席指揮者に

  3. ロサンゼルス発 〓 ロサンゼルス・オペラが届かない舞台装置を急きょ自作、2021/2022シーズンは予定通りの開幕

  4. セヴァストポリ発 〓 ロシア文化省が建設中のセヴァストポリ国立オペラ・バレエ劇場の芸術監督にイルダール・アブドラザコフ

  5. ロンドン発 〓 「最も忙しい指揮者」はまたまたネルソンス、クラシック統計ランキングで

  6. ドレスデン発 〓 バリトン歌手のハンス=ヨアヒム・ケテルセンがザクセン州立オペラの名誉会員に

  7. バニング発 〓 アナログ・レコード人気に打撃、ラッカー盤製造メーカーの工場が全焼

  8. サバンナ発 〓 原田慶太楼が米国サバンナ・フィルハーモニックの音楽・芸術監督に

  9. 訃報 〓 ガブリエル・フムラ(74)ポーランドの指揮者

  10. ブカレスト発 〓 国立歌劇場のスタッフが新型コロナウイルスに感染、当面の公演をキャンセル

  11. ロサンゼルス発 〓 第63回「グラミー賞」発表

  12. パリ発 〓 米国のソプラノ歌手リセッテ・オロペサにフランス政府の「芸術文化勲章シュヴァリエ」

  13. ニュルンベルク発 〓 ニュルンベルク響の次期首席指揮者にジョナサン・ダーリントン

  14. ロンドン発 〓 ロイヤル・オペラ・ハウスが夏のボリショイ劇場バレエ団ロンドン公演をキャンセル

  15. ケルン発 〓 ケント・ナガノがコンチェルト・ケルンと《リング》四部作上演に挑戦

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。