ミラノ発 〓 ウクライナ領事、スカラ座に《ボリス・ゴドノフ》の上演取り止めを要請

2022/11/16

ウクライナのアンドレイ・カルティシュ在ミラノ領事が先週、スカラ座のドミニク・マイヤー総裁らに対して、12月7日の新シーズン開幕公演に予定されているムソルグスキー《ボリス・ゴドノフ》の上演とり止めを要請した。

現地の報道をまとめると、要請はマイヤー総裁はじめ、ミラノのジュゼッペ・サラ市長とロンバルディア州のアッティリオ・フォンタナ知事に送られたもの。上演がイタリアのウクライナ社会に大きな失望と後悔をもたらしたとした上で、要請理由をロシアによるいかなるプロパガンダの要素も許さないためとしている。

上演取り止めについては10月末、イタリアにあるウクライナ関連の23の協会からも要請状が送られていたが、直前になっての領事からの改めての抗議に、マイヤー総代は現地メディアの取材に対し、「プーシキンを読むために隠れる準備はしていない」と述べている。

ロシア・オペラを代表する作品でもある《ボリス・ゴドノフ》の上演をめぐっては今年3月、ワルシャワ国立歌劇場が4月8日に初日を迎える予定だった新制作のプロダクションの上演を取り止めるといった動きが出ていた。

写真:Teatro alla Scala / Giuseppe Nicoloro

関連記事

  1. ミラノ発 〓 リッカルド・シャイーがスカラ座オーケストラとのヨーロッパ・ツアーをキャンセル

  2. ローマ発 〓 パッパーノの後任にガッティが急浮上、サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団

  3. トゥール発 〓 サントル=ヴァル・ド・ロワール交響楽団の首席客演指揮者にベネズエラの女流指揮者グラス・マルカーノ

  4. パリ発 〓 フランス文化省がパリ国立オペラに対する予算を600万ユーロ削減

  5. トーレ・デル・ラーゴ発 〓 プッチーニ・フェスティバル開催決定

  6. 東京発 〓 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールと沼尻竜典が「第51回ENEOS音楽賞」洋楽部門を受賞

  7. ライプチヒ発 〓 ライプチヒ歌劇場が2022年にワーグナー音楽祭、13の歌劇と楽劇を集中上演

  8. マルセイユ発 〓 市立歌劇場が新制作の《トスカ》をストリーミング配信

  9. ロンドン発 〓 フィルハーモニア管の次期首席指揮者にサントゥ=マティアス・ロウヴァリ

  10. アムステルダム発 〓 ロイヤル・コンセルトヘボウ管が2024/2025シーズンの公演ラインナップを発表、クラウス・マケラと全米ツアー

  11. ブラウンシュヴァイク発 〓 州立劇場が《蝶々夫人》のポスター・デザインを変更、旭日旗を連想させるという抗議受け

  12. 訃報 〓 デール・クレヴェンジャー(81)米国のホルン奏者

  13. ニューヨーク発 〓 ネトレプコの米国復帰めぐり、メトロポリタン歌劇場のゲルブ総裁と本人が応酬

  14. ウィーン発 〓 国立歌劇場が約50ぶりの新制作となる《ニュルンベルクのマイスタージンガー》をライブ・ストリーミング

  15. ワルシャワ発 〓 第19回「ショパン国際ピアノ・コンクール」のファイナリストが決定、11名を選出

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。