ウィーン発 〓 カミラ・ニールンドに国立歌劇場の「ロッテ・レーマン メモリアル・リング」

2022/11/15

時代を代表するソプラノ歌手に代々受け継がれてきた国立歌劇場の「ロッテ・レーマン・メモリアル・リング」がフィンランドのソプラノ歌手カミラ・ニールンド(Camilla Nylund)に授与された。ニールンドは9日夜、ウィーン国立歌劇場のリヒャルト・シュトラウス《ナクソス島のアリアドネ》に出演、公演後、ステージで授与式が行われた。

リングは1955年、二度の世界大戦の間に歌劇場の名声を高めることに貢献したソプラノ歌手ロッテ・レーマンの功績を称えるため、ウィーン国立歌劇場独唱者協会が歌劇場に寄贈、レーマンに贈られたもの。以後、時代を代表するソプラノ歌手に受け継がれてきた。

レーマンが1976年8月に亡くなった後、レオニー・リザネクに引き継がれ、リザネクは後継者にヒルデガルト・ベーレンスを指名。2009年にベーレンが亡くなった後はヴァルトラウト・マイヤーが引き継いだ。協会の規約改正で、マイヤーに授与されてから10年が経過したことから、後継者の選定が進められていた。

ソリスト協会会長のハンス・ペーター・カンメラーは「カミラ・ニールンドはその光り輝く柔らかい音色の素晴らしい特質を失うことなく、純粋にリリカルな声を一貫して繊細に発展させてきた」と述べている。

ニールンドはフィンランド西部ヴァーサの生まれの54歳。トゥルク音楽院、ザルツブルク・モーツァルテウム音楽院で学び、ドレスデンのザクセン州立歌劇場の専属歌手などを経て、世界各地の歌劇場で出演を重ねてきた。

国立歌劇場デビューは2005年で、リヒャルト・シュトラウス《サロメ》のタイトルロールを歌っている。2019年6月に歌劇場から「宮廷歌手」の称号が贈られている。


関連記事

  1. ロサンゼルス発 〓 第62回「グラミー賞」決まる

  2. 浜松発 〓 第12回「浜松国際ピアノ・コンクール」で日本の鈴木愛美が優勝。日本人、女性の優勝はコンクール史上初

  3. ハンブルク発 〓 名門ホール「ライスハレ」が使っていないパイプ・オルガンを入れ替え

  4. ワシントン発 〓 ケネディー・センターが人気ミュージカル「ハミルトン」の上演を断念

  5. 訃報 〓 アンネローゼ・シュミット(85)ドイツのピアニスト

  6. ベルリン発 〓 ベルリン州立歌劇場が2020/2021シーズンの公演ラインナップを発表

  7. ザルツブルク発 〓 復活祭音楽祭が早くも2024年の音楽祭の詳細を発表

  8. 訃報 〓 スティーヴ・ダヴィスリム(57)オーストラリアのテノール歌手

  9. シカゴ発 〓 シカゴ響の大ベテラン二人が引退、在籍45年と39年

  10. ロンドン発 〓 レザール・フロリサンが創立40周年ツアー

  11. 高雄発 〓 台湾の衛武営国立芸術文化センターが《椿姫》を上演

  12. ルクセンブルク発 〓 指揮者のグスターボ・ヒメノがルクセンブルク・フィルとの契約を延長

  13. 訃報 〓 グレース・バンブリー(86)米国のメゾ・ソプラノ歌手

  14. ザルツブルク音楽祭 〓 スポンサーの一角にロシアの「ガスプロム」

  15. シドニー発 〓 海辺のテラス・レストランに急降下するカモメ対策にパトロール犬

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。