指揮者のマイケル・ティルソン・トーマス(Michael Tilson Thomas)が13日、マーラーの交響曲第3番を取り上げた演奏会で、6楽章構成の5楽章の演奏を終えて舞台を降りようとするハプニングが起きた。79歳のティルソン・トーマスは悪性の脳腫瘍と闘病しながら指揮活動を続けており、周囲に促されて再び指揮を再開、指揮を終えると聴衆から大歓声を浴びたという。
指揮していたのはロンドン交響楽団がバービカン・センターで行った演奏会。ティルソン・トーマスは1987年から1995年にかけてオーケストラの首席指揮者を務めており、現在は桂冠指揮者。このところマーラー・チクルスを展開中で、10月には80歳の誕生日記念コンサートで交響曲第2番《復活》を指揮することになっている。
現地の報道をまとめると、ティルソン・トーマスは5楽章の演奏が終わるとスコアを閉じ、客席に向かって親しげに何事かを語りかけて演奏を終えようとしたという。周囲の全員が一瞬なにが起きたのか解らなかったというが、異変に気付いたソリストのアリス・クートやオーケストラのメンバーら周囲が声をかけると、再び指揮を始めたという。
第3番は第4楽章にアルト独唱、第5楽章にアルト独唱と児童合唱、女声合唱が入り、休憩なしで演奏される約100分の大曲。マーラーの交響曲の中で最長、かつては「世界最長の交響曲」とされており、闘病中のティルソン・トーマスの体力を誰もが心配する中でのハプニングだったが、それだけに演奏が終わった後のスタンディング・オベーションは熱狂的だったという。
写真:Barbican / Mark Allan
ロンドン発 〓 ティルソン・トーマスがマーラーの交響曲第3番で、終楽章の演奏前に舞台を降りようとするハプニング
2024/05/16
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