ニューヨーク発 〓 ジュリアード音楽院が作曲科の科長ロバート・ビーザーをセクハラ疑惑で休職に

2022/12/25

米国のジュリアード音楽院が23日、作曲科の科長を務めるロバート・ビーザー(Robert Beaser)を性的虐待の疑いで休職にしたと発表した。音楽院の広報担当者は声明の中で、「私たちの学校コミュニティには、性的差別やセクハラは存在しない。疑惑については極めて深刻に受け止めている」と述べている。

今回の告発は、ベルリンを拠点とするクラシック音楽のWEBサイト「Van」が12日に行ったもの。ビーザーが1990年代後半から2000年代にかけ、出世の手助けをする見返りに学生に性行為を要求していたと伝えており、少なくとも4人の女性作曲家がビーザーに対する疑惑は学科内の「公然の秘密」だったと語っている。

また、告発によると、500人近い音楽家が、彼の「数十年にわたる女性への暴行と権力の乱用」疑惑に対して音楽院が行動することを求める公開書簡に署名しているという。

ビーザーはボストン生まれの68歳。父親が物理学者、母親が化学者という糧で育ち、16歳でローマのアメリカン・アカデミーが贈る「ローマ賞」を史上最年少で受賞するなど、若くして音楽家として才能が認められた。イェール大学を1976年に首席で卒業している。

1986年に《マウンテン・ソング》でグラミー賞の「ベスト・コンテンポラリー部門」にノミネートされ、1993年に音楽院作曲科の教授兼学科長に就任。1999年のテレビ番組《愛の食べ物》の音楽は2000年の「エミー賞」にノミネートされた。

告発についてビーザーは「ニューヨーク・ポスト」紙に対して「私は自分の評判を守るため、ジュリアード音楽院の外部調査に参加することを望んでいます。学校がこのプロセスを終えるまで、私は教職を休職することに同意しています」というコメントを発表している。

写真:Royal Scottish National Orchestra / José Serebrier


関連記事

  1. 訃報 〓 盛中国(77)中国のヴァイオリニスト

  2. シュレスヴィヒ=ホルシュタイン音楽祭 〓 今年の「レナード・バーンスタイン賞」にエミリー・ダンジェロ

  3. ゲラ発 〓 ソプラノのアスミク・グリゴリアンにドイツの演劇賞「ファウスト賞」

  4. ベルリン発 〓 ベルリン・フィル恒例の「ヨーロッパ・コンサート」、今年は本拠地フィルハーモニーのホワイエで

  5. ミュンヘン発 〓 ソプラノのニーナ・シュテンメにバイエルン州から「宮廷歌手」の称号

  6. ベルゲン発 〓 指揮者のエドワード・ガードナーがベルゲン・フィルハーモニー管弦楽団との契約を延長

  7. タリン発 〓 エストニア国立響の次期音楽監督にオラリー・エルツ

  8. ミュンヘン発 〓 パーヴォル・ブレスリクにバイエルン州から「宮廷歌手」の称号

  9. ワルシャワ発 〓 第18回ショパン国際ピアノ・コンクールの予備予選終了、日本からは14人が本大会へ

  10. ジュネーブ発 〓 ジュネーブ大劇場が2020/2021シーズンの公演ラインナップを発表

  11. リバプール発 〓 ロイヤル・リバプール・フィルの次期首席指揮者にドミンゴ・インドヤン

  12. ミラノ発 〓 スカラ座の次期総裁にフェニーチェ劇場総裁のフォルトゥナート・オルトンビーナ

  13. トゥールーズ発 〓 キャピトル劇場が新シーズン、2022/2023シーズンの公演ラインナップを発表

  14. ローマ発 〓 ローマ歌劇場が《椿姫》の新作を4月にストリーミング配信

  15. ベルリン発 〓 ベルリン州立オペラが新制作の《フィガロの結婚》をライブ・ストリーミング

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。