ロンドン発 〓 ティルソン・トーマスがマーラーの交響曲第3番で、終楽章の演奏前に舞台を降りようとするハプニング

2024/05/16

指揮者のマイケル・ティルソン・トーマス(Michael Tilson Thomas)が13日、マーラーの交響曲第3番を取り上げた演奏会で、6楽章構成の5楽章の演奏を終えて舞台を降りようとするハプニングが起きた。79歳のティルソン・トーマスは悪性の脳腫瘍と闘病しながら指揮活動を続けており、周囲に促されて再び指揮を再開、指揮を終えると聴衆から大歓声を浴びたという。

指揮していたのはロンドン交響楽団がバービカン・センターで行った演奏会。ティルソン・トーマスは1987年から1995年にかけてオーケストラの首席指揮者を務めており、現在は桂冠指揮者。このところマーラー・チクルスを展開中で、10月には80歳の誕生日記念コンサートで交響曲第2番《復活》を指揮することになっている。

現地の報道をまとめると、ティルソン・トーマスは5楽章の演奏が終わるとスコアを閉じ、客席に向かって親しげに何事かを語りかけて演奏を終えようとしたという。周囲の全員が一瞬なにが起きたのか解らなかったというが、異変に気付いたソリストのアリス・クートやオーケストラのメンバーら周囲が声をかけると、再び指揮を始めたという。

第3番は第4楽章にアルト独唱、第5楽章にアルト独唱と児童合唱、女声合唱が入り、休憩なしで演奏される約100分の大曲。マーラーの交響曲の中で最長、かつては「世界最長の交響曲」とされており、闘病中のティルソン・トーマスの体力を誰もが心配する中でのハプニングだったが、それだけに演奏が終わった後のスタンディング・オベーションは熱狂的だったという。

写真:Barbican / Mark Allan


関連記事

  1. マルティナ・フランカ発 〓 ヴァッレ・ディートリア音楽祭が開催を決定

  2. 東京発 〓 新国立劇場が「巣ごもりシアター」第4弾のラインナップ発表

  3. ニューヨーク発 〓 メトロポリタン歌劇場の舞台が故障してセミ・ステージ上演に

  4. ケルン発 〓 ケント・ナガノがコンチェルト・ケルンと《リング》四部作上演に挑戦

  5. ニューヨーク発 〓 メトロポリタン歌劇場が新しい“リング”、演出にユヴァル・シャロンを起用

  6. ミュンヘン発 〓 ソプラノのディアナ・ダムラウに「ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章」

  7. グシュタード発 〓 メニューイン音楽祭が中止を発表

  8. テルアビブ発 〓 ズービン・メータに新型コロナの陽性反応、イスラエル・フィルの最終日はキャンセル

  9. ミラノ発 〓 スカラ座が2022/2023シーズンの公演ラインナップを発表

  10. デトロイト発 〓 デトロイト響が音楽監督のヤデル・ビニャミーニとの契約を延長

  11. ペーネミュンデ発 〓 ニューヨーク・フィルが新型コロナの世界的流行以来初の海外公演、ドイツ・ウーゼドム音楽祭に客演

  12. トゥールーズ発 〓 キャピトル劇場が新シーズン、2022/2023シーズンの公演ラインナップを発表

  13. モントリオール発 〓 モントリオール響がロシアの若手ピアニストの出演をキャンセル、ウクライナ・コミュニティーと楽団員の反発で

  14. 訃報 〓 オリヴァー・ナッセン(66)英国の作曲家

  15. ボストン発 〓 ボストン響も2020/2021シーズンのキャンセルを発表

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。