2017年7月にローマ歌劇場(Teatro dell’Opera di Roma)で劇場従業員が清掃作業中に転落死した事故をめぐり、当時の総裁だったカルロ・フォルテス(Carlo Fuortes)に対して、ローマ裁判所第6刑事部が労働安全規則違反として16カ月の実刑判決を言い渡した。また、被害者の遺族に対して、フォルテスに22万ユーロ(約3,600万円)を支払うよう命じた。
現地での報道をまとめると、2017年7月31日に起きた事故は、ピット’の臨時清掃中、50歳の男性が梯子から落ちて頭部を強く打ち、9日間の昏睡状態の後、病院で死亡したというもの。検察側は当時の建物の管理人であったフェルテスと、男性が働いていた会社のオーナーに懲役2年を求刑していた。
フォルテスはローマ生まれの64歳。2013年から2021年までローマ歌劇場の総裁を務めた後、2021年にイタリア放送協会(RAI)の最高経営責任者に就任した。しかし、現在のメローニ政権と対立して2023年5月に辞任。その9月からナポリのサン・カルロ劇場の総裁に就任することが発表された。
ところが、2021年から総裁を務め、任期が残っていたステファン・リスナーがその決定に対し、メローニ政権が急に総裁職に70歳の定年を設けて契約途中にある人物を突然解任するのは違法として提訴。これにナポリの裁判所がリスナーの復職を認める判決を出したことで話は立ち消えになった。
その直後、アレキサンダー・ペレイラが退任したフィレンツェ歌劇場の総裁に起用されることが決まり、先週から仕事を始めたところだった。フォルテスの弁護士は控訴を明言しており、いまのところ収監される怖れはないという。
写真:Teatro del Maggio Musicale Fiorentino
ローマ発 〓 フィレンツェ歌劇場の総裁に就任したばかりのカルロ・フォルテスに対し、労働安全規則違反で16カ月の実刑判決
2024/03/29
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