訃報 〓 マーティン・ロヴェット(93)英国のチェロ奏者、アマデウス弦楽四重奏団のメンバー

2020/04/30
【最終更新日】2023/02/16

英国のチェロ奏者マーティン・ロヴェット(Martin Lovett)が亡くなった。93歳だった。1948年から1987年まで存在したアマデウス弦楽四重奏団(Amadeus String Quartet)の最後の生存者。

ロヴェットはロンドン・フィルハーモニー管弦楽団のチェロ奏者の息子として、1927年にロンドンに生まれた。ロンドンの王立音楽院で学び、1947年のアマデウス弦楽四重奏団結成に最年少の19歳で参加した。

弦楽四重奏団は、第1ヴァイオリンがノーバート・ブレイニン(Norbert Brainin)、第2ヴァイオリンがジークムント・ニッセル(Siegmund Nissel)、ヴィオラがペーター・シドロフ(Peter Schidlof)。そこにロヴェットが加わり、1948年にロンドンでデビューを飾った。

ロヴェット以外の三人は、1938年のオーストリア併合の影響で英国に亡命してきたユダヤ人。三人は大戦後に敵性外国人キャンプから解放された後、やはり英国に亡命していたポーランド生まれのヴァイオリニストでカール・フレッシュ門下のマックス・ロスタルに師事。その紹介で三人とロヴェットは知り合ったという。

その後、世界的な活動を展開。1988年にヴィオラのシドロフが亡くなって解散するまでの40年間、同一メンバーで活動を行なった。

ハイドンからベートーヴェン、ブラームスまで、ドイツ・オーストリア系をレパートリーの中心にしながら、ドイツ・グラモフォン(Deutsche Grammophon )を中心に200を超える録音を残している。

写真:Michael Slowe


関連記事

  1. グラインドボーン発 〓 グラインドボーン音楽祭が2021年の公演ラインナップを発表

  2. クラスノヤルスク発 〓 第2回「ヴィクトル・トレチャコフ国際ヴァイオリン・コンクール」でスペインのマリア・ドゥエナスが優勝、河井勇人、清水公望が入賞

  3. ルツェルン発 〓 アシュケナージが引退を表明

  4. ミュンヘン発 〓 ワーグナーの曽孫エヴァ・ワーグナー=パスキエ、イザール川で仮死状況で発見されるも昏睡状態

  5. プラハ発 〓 ビシュコフが手術後の静養でチェコ・フィルの指揮をキャンセル、代役になんとブロムシュテット

  6. ケムニッツ発 〓 市立劇場の音楽総監督にベンヤミン・ライナース

  7. ボルドー発 〓 ボルドー・アキテーヌ国立管の音楽監督にジョセフ・スヴェンセン

  8. ワシントン発 〓 ナショナル響がストライキに突入、新シーズンの開幕コンサートがお流れに

  9. ニューヨーク発 〓 新たに11人の女性がドミンゴのセクハラを証言

  10. ボーンマス発 〓 ボーンマス響の首席客演指揮者にマーク・ウィッグルスワース

  11. ロンドン発 〓 オペラ・ホーランド・パークが2022年の公演ラインナップを発表

  12. ユトレヒト発 〓 第12回「フランツ・リスト国際ピアノ・コンクール」で日本の黒木雪音が優勝

  13. ブッパータール発 〓 市の音楽総監督に25歳のパトリック・ハーン

  14. ミュンヘン発 〓 パトリック・ハーンがミュンヘン放送管の首席客演指揮者に

  15. ベルリン発 〓 ペトレンコが足の怪我を押して、ベルリン・フィルのシーズン開幕コンサートを指揮

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。