ローマ発 〓 フィレンツェ歌劇場の総裁に就任したばかりのカルロ・フォルテスに対し、労働安全規則違反で16カ月の実刑判決

2024/03/29

2017年7月にローマ歌劇場(Teatro dell’Opera di Roma)で劇場従業員が清掃作業中に転落死した事故をめぐり、当時の総裁だったカルロ・フォルテス(Carlo Fuortes)に対して、ローマ裁判所第6刑事部が労働安全規則違反として16カ月の実刑判決を言い渡した。また、被害者の遺族に対して、フォルテスに22万ユーロ(約3,600万円)を支払うよう命じた。

現地での報道をまとめると、2017年7月31日に起きた事故は、ピット’の臨時清掃中、50歳の男性が梯子から落ちて頭部を強く打ち、9日間の昏睡状態の後、病院で死亡したというもの。検察側は当時の建物の管理人であったフェルテスと、男性が働いていた会社のオーナーに懲役2年を求刑していた。

フォルテスはローマ生まれの64歳。2013年から2021年までローマ歌劇場の総裁を務めた後、2021年にイタリア放送協会(RAI)の最高経営責任者に就任した。しかし、現在のメローニ政権と対立して2023年5月に辞任。その9月からナポリのサン・カルロ劇場の総裁に就任することが発表された。

ところが、2021年から総裁を務め、任期が残っていたステファン・リスナーがその決定に対し、メローニ政権が急に総裁職に70歳の定年を設けて契約途中にある人物を突然解任するのは違法として提訴。これにナポリの裁判所がリスナーの復職を認める判決を出したことで話は立ち消えになった。

その直後、アレキサンダー・ペレイラが退任したフィレンツェ歌劇場の総裁に起用されることが決まり、先週から仕事を始めたところだった。フォルテスの弁護士は控訴を明言しており、いまのところ収監される怖れはないという。

写真:Teatro del Maggio Musicale Fiorentino


関連記事

  1. ウィーン発 〓 国立歌劇場が《アドリアーナ・ルクヴルール》の公演をストリーミング配信

  2. マドリッド発 〓 ドミンゴがSNSで新型コロナウイルス感染を明らかに

  3. ニューヨーク発 〓 ニューヨーク・フィルの活動再開は2021年1月

  4. ルツェルン発 〓 アシュケナージが引退を表明

  5. モスクワ発 〓 スヴェトラーノフ記念ロシア国立響の芸術監督に39歳のフィリップ・チシェフスキー

  6. トゥールーズ発 〓 キャピトル国立管が音楽監督を辞任したトゥガン・ソヒエフに「名誉指揮者」の称号

  7. ミュンヘン発 〓 BR-KLASSIKが話題のドキュメンタリーを再掲載、ネトレプコ、ビリャソンの《椿姫》の舞台裏

  8. ベルリン発 〓 レコード賞「オーパス・クラシック」授賞式がコンツェルトハウスで

  9. トリノ発 〓 王立歌劇場がストリーミング配信、毎日違った作品をアップ

  10. プラハ発 〓 チェコ・フィルが音楽監督のビシュコフとの契約を延長

  11. マチェラータ発 〓 マチェラータ音楽祭が2022年の公演ラインナップを発表

  12. ヘルシンキ発 〓 シベリウス国際ヴァイオリン・コンクールが開催延期を発表

  13. シュトゥットガルト発 〓 コルネリウス・マイスターが音楽総監督を務めるシュトゥットガルト州立劇場との契約を延長

  14. ミュンヘン発 〓 バイエルン州立歌劇場がシーズン閉幕を宣言、夏のミュンヘン・オペラ・フェスティバルも中止

  15. ドレスデン発 〓 ザクセン州立歌劇場が2021/2022シーズンの公演ラインナップを発表

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。