ロシア法務省が7月19日、ピアニストのエフゲニー・キーシン(Evgeny Kissin)を外国のスパイとみなす「外国のエージェント」に指定したと発表した。発表によると、今回はキーシン以外に詩人や聖職者ら4名が新たに指定された。いずれも、ロシアのウクライナ侵攻(ロシアでは特別軍事作戦)に反対、ウクライナ軍への募金活動に参加したことがその理由。
ロシアでは2022年以降、指定された国民と組織は、その業務内容と支出だけでなく、個人のSNS上の出版物を含むすべての出版物について法務省に定期的に報告することが義務付けられている。また、指定されると、教育、情報製品の制作、公共イベントの主催、選挙管理委員会の委員になることが禁止されている。
キーシンはモスクワ生まれの52歳。ユダヤ系の家系に生まれ、グネーシン音楽学校に進み、幼い頃から神童ぶりを発揮。12歳でドミトリー・キタエンコ指揮のモスクワ・フィルハーモニー管弦楽団と共演、その時に弾いたショパンのピアノ協奏曲の演奏で一躍注目を浴びた。以来、当代を代表するピアニストの一人として国際的な活躍を続けている。
1990年代から海外を拠点に活動、2016年からはチェコの首都プラハに移り住み、ロシア以外に英国とイスラエルの国籍も持つ。ロシアのウクライナに対する武力侵攻を最も批判しているロシア出身のアーティストの一人で、侵攻直後にSNSに長文の抗議文を発表している他、この6月にも「ロシアの侵略者がウクライナに与えるあらゆる恐怖にもかかわらず、この素晴らしい国は生き残る」と投稿している。
写真:Czech Philharmonic / Galerie Rudolfinum
モスクワ発 〓 ロシア法務省がピアニストのキーシンを“スパイ”指定
2024/07/22
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