ニューヨーク発 〓 メトロポリタン歌劇場が新しい“リング”、演出にユヴァル・シャロンを起用

2024/08/08

メトロポリタン歌劇場が2026/2027シーズン、新制作のワーグナー《ニーベルングの指環》を登場させることを発表した。演出を手掛けるのはユヴァル・シャロン(Yuval Sharon)。シャロンはそれに先立ち、2025/2026シーズンにワーグナー《トリスタンとイゾルデ》の新演出を手掛けて劇場デビューを飾る。

新しく登場するのは、2010/2011シーズンから上演されてきたロベール・ルパージュ演出のプロダクションの後継。《トリスタンとイゾルデ》と新しい“リング”を指揮するのはヤニック・ネゼ=セガンで、イゾルデ役、ブリュンヒルデ役にはリーゼ・ダヴィドセンが起用される。

シャロンはイリノイ州 ネイパービル生まれの44歳。イスラエル人の両親の下で育ち、カリフォルニア大学バークレー校で英語と演劇を学び、その後、ニューヨークで劇団を設立。その後、ニューヨーク・シティ・オペラのスタッフとして活動した。その後、ロサンゼルスに拠点に移して米国内でさまざまなオペラの演出を手掛けた。

徐々にヨーロッパでも活動も増え、2016年にウィーン国立歌劇場で上演されたペテル・エトヴェシュ《三人姉妹》、カールスルーエ・バーデン州立劇場で上演されたワーグナー《ワルキューレ》の他、2018年にはフランクフルト市立歌劇場で上演されたオルガ・ノイヴィルトの《ロスト・ハイウェイ》の演出を手掛けている。

また、2018年には“ワーグナーの聖地”として知られるドイツ・バイロイト音楽祭で、米国人の演出家として初めての《ローエングリン》の演出を手掛けるという名誉を獲得、さらに活躍の場を広げており、、2020年からはデトロイト・オペラの芸術監督を務めている。

シャロンは「それぞれのオペラは、再解釈の無限の可能性を秘めた、独自の複雑な宇宙。これらの作品を探求し、ヤニック・ネゼ=セガンと共にメトロポリタン歌劇場のために『トリスタン』と『指環』の作品を創作することは、生涯に一度の名誉であり、想像力豊かなプロセスであり、私はわくわくしている」と述べている。

写真:Roman Cho / John D. & Catherine / T.MacArthur Foundation


関連記事

  1. ドレスデン発 〓 ドレスデン・シュターツカペレが首席指揮者を退任するクリスティアン・ティーレマンに名誉指揮者の称号

  2. パリ発 〓 劇場の占拠、フランス全土へ拡大

  3. ロッテルダム発 〓 音楽界でウクライナへの連帯表明広がる、ロッテルダム・フィル、バーデン=バーデン音楽祭もゲルギエフにプーチン大統領との決別を要求

  4. 松本発 〓 セイジ・オザワ松本フェスティバルが開催断念を発表

  5. ワシントン発 〓 ナショナル交響楽団が中国公演を中止

  6. ブリュッセル発 〓 名ホール、パレ・デ・ボザールで火災

  7. ニューヨーク発 〓 カーネギーホールとウィーン・フィルが指揮者交代で同意、ロシアのウクライナ進攻でゲルギエフ降板

  8. ハノーファー発 〓 州立劇場の次期音楽総監督にステファン・ジリアス

  9. リエージュ発 〓 フランスの指揮者リオネル・ブランギエがリエージュ王立フィルの次期音楽監督に

  10. クアラルンプール発 〓 マレーシア・フィルの音楽監督に準・メルクル

  11. オスロ発 〓 クラウス・マケラが3月、オスロ・フィルとのシベリウス全集でレコード・デビュー

  12. シュトゥットガルト発 〓 コルネリウス・マイスターが音楽総監督を務めるシュトゥットガルト州立劇場との契約を延長

  13. インスブルック発 〓 古楽音楽祭が新体制、音楽監督にオッタヴィオ・ダントーネ、アカデミア・ビザンチナがレジデンス・オーケストラに

  14. ニューヨーク発 〓 メトロポリタン歌劇場のゲルブ総裁がプーチン大統領を支援する芸術家、大統領の支援を受ける芸術家や組織との関係を断ち切ると発言

  15. ベルリン発 〓 オーストラリア出身のトロンボーン奏者ジョナサン・ラムジーがベルリン・フィルのオーディションを通過

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。