訃報 〓 ルート・ヘッセ(87)ドイツのメゾ・ソプラノ歌手

2024/07/17

ドイツのメゾ・ソプラノ歌手ルート・ヘッセ(Ruth Hesse)が7月13日、オーストリア中部ザルツブルク近くのハルシュタットで亡くなった。87歳だった。1960年代から1990年代半ばまで著名な歌劇場に客演を重ね、ザルツブルクやバイロイトなどの音楽祭でも活躍。オーストリアから「宮廷歌手」の称号を贈られている。

ドイツ・ヴッパータール生まれで、ヴッパータール、ハンブルク、ミラノで学び、1958年にリューベック市立劇場のグルック《オルフェオとエウリディーチェ》でオルフェウス役を歌ってオペラ・デビューした。その後、ハノーファー州立劇場を経て、1962年からベルリン・ドイツ・オペラに移籍。1995年まで在籍し、ヘンツェの《若い貴公子》の世界初演を含め、多くの役柄を演じている。

また、1960年にバイロイト音楽祭にデビュー、1979年まで出演を重ね、《ローエングリン》のオルトルート役では、ペーター・ホフマンとカラン・アームストロングらと共演している。1960年代はハンブルク州立歌劇場の主力歌手としても活躍した。

ウィーン国立歌劇場には1965年にデビュー、1988年にリヒャルト・シュトラウス《サロメ》のヘロディアスを歌って引退するまで定期的に出演。パリ国立オペラ、ブリュッセルのモネ劇場、オランダ国立オペラ、バルセロナのリセウ大劇場、ベネチアのフェニーチェ劇場、モスクワのボリショイ劇場などに出演している。また、米国でも、サンフランシスコ、シカゴ、ワシントンで出演を重ねた。

持ち役には、ワーグナーはオルトルートの他、《トリスタンとイゾルデ》のブランゲーネがあり、ヴェルディでは、《ドン・カルロ》のエボリ、《アイーダ》のアムネリス、《イル・トロヴァトーレ》のアズチェーナ、《リゴレット》のマッダレーナ、《運命の力》のプレツィオシッラなどを歌っている。

また、リヒャルト・シュトラウスはヘロディアスの他、《影のない女》の乳母が高く評価されており、ジェイムズ・キング、ビルギット・ニルソン、レオニー・リザネク、ウォルター・ベリーとの共演しているカール・ベーム指揮のウィーン国立歌劇場の録音も残されている。

写真:Bayreuther Festspiele





関連記事

  1. ミュンヘン発 〓 バリトンのジェラルド・フィンリーにバイエルン州から「宮廷歌手」の称号

  2. ベルリン発 〓 コーミッシェ・オーパーが2018/2019シーズンのラインナップを発表

  3. ベルリン発 〓 ベルリン・ドイツ・オペラがワーグナー《リエンツィ》をストリーミング配信

  4. ミュンヘン発 〓 バイエルン州立オペラが新シーズン、2025/2026シーズンの公演ラインナップを発表

  5. ケルン発 〓 ケルン放送管の次期首席指揮者にアイルランドの指揮者デヴィッド・ブロフィー

  6. ミュンヘン発 〓 BR-KLASSIKが話題のドキュメンタリーを再掲載、ネトレプコ、ビリャソンの《椿姫》の舞台裏

  7. ボーフム発 〓 演出家のリディア・スタイアーがルール・トリエンナーレの芸術監督に

  8. ニュルンベルク発 〓 演出家が歌手の代役 !?

  9. バーデン=バーデン音楽祭 〓 バーデン=バーデン音楽祭が2023年の公演ラインナップを発表。25周年迎えてカウフマンで開幕、フローレスで閉幕

  10. ベルリン発 〓 ドイツの演出家クラウス・グートがロシアの「ゴールデン・マスク賞」の受賞を拒否

  11. ベルリン発 〓 ソプラノのアンナ・トモワ=シントウがベルリン州立歌劇場の名誉会員に

  12. ベルリン発 〓 コンツェルトハウスが無観客公演をストリーミング中継

  13. ベルリン発 〓 ベルリン・シュターツカペレが11月のヨーロッパ・ツアーを中止

  14. ベルリン発 〓 コーミッシェ・オーパーの次期音楽総監督にジェームズ・ガフィガン、カペルマイスターには八嶋恵利奈

  15. フランクフルト発 〓 ジョナサン・ノットがユンゲ・ドイチェ・フィルとの契約を延長

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。