ドイツのメゾ・ソプラノ歌手ルート・ヘッセ(Ruth Hesse)が7月13日、オーストリア中部ザルツブルク近くのハルシュタットで亡くなった。87歳だった。1960年代から1990年代半ばまで著名な歌劇場に客演を重ね、ザルツブルクやバイロイトなどの音楽祭でも活躍。オーストリアから「宮廷歌手」の称号を贈られている。
ドイツ・ヴッパータール生まれで、ヴッパータール、ハンブルク、ミラノで学び、1958年にリューベック市立劇場のグルック《オルフェオとエウリディーチェ》でオルフェウス役を歌ってオペラ・デビューした。その後、ハノーファー州立劇場を経て、1962年からベルリン・ドイツ・オペラに移籍。1995年まで在籍し、ヘンツェの《若い貴公子》の世界初演を含め、多くの役柄を演じている。
また、1960年にバイロイト音楽祭にデビュー、1979年まで出演を重ね、《ローエングリン》のオルトルート役では、ペーター・ホフマンとカラン・アームストロングらと共演している。1960年代はハンブルク州立歌劇場の主力歌手としても活躍した。
ウィーン国立歌劇場には1965年にデビュー、1988年にリヒャルト・シュトラウス《サロメ》のヘロディアスを歌って引退するまで定期的に出演。パリ国立オペラ、ブリュッセルのモネ劇場、オランダ国立オペラ、バルセロナのリセウ大劇場、ベネチアのフェニーチェ劇場、モスクワのボリショイ劇場などに出演している。また、米国でも、サンフランシスコ、シカゴ、ワシントンで出演を重ねた。
持ち役には、ワーグナーはオルトルートの他、《トリスタンとイゾルデ》のブランゲーネがあり、ヴェルディでは、《ドン・カルロ》のエボリ、《アイーダ》のアムネリス、《イル・トロヴァトーレ》のアズチェーナ、《リゴレット》のマッダレーナ、《運命の力》のプレツィオシッラなどを歌っている。
また、リヒャルト・シュトラウスはヘロディアスの他、《影のない女》の乳母が高く評価されており、ジェイムズ・キング、ビルギット・ニルソン、レオニー・リザネク、ウォルター・ベリーとの共演しているカール・ベーム指揮のウィーン国立歌劇場の録音も残されている。
写真:Bayreuther Festspiele
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