訃報 〓 ハンス・ツェンダー(82)ドイツの指揮者、作曲家

2019/10/25
【最終更新日】2023/02/16

指揮者、作曲家として活躍したハンス・ツェンダー(Hans Zender)が22日、ドイツ・メーアスブルクで82歳で亡くなった。指揮者として活躍するかたわら、作曲家としてもオーケストラ、室内楽アンサンブル、ソロ楽器、ボーカル音楽、音楽劇場向けなど、幅広い分野の楽曲を作曲した。

ヴィースバーデンの生まれで、フランクフルト音楽大学(現在のフランクフルト音楽・舞台芸術大学)でピアノを学んだ後、フライブルク音楽大学でヴォルフガング・フォルトナーに作曲を学んだ。

卒業後は、指揮者として、ボン市立劇場、キール歌劇場の音楽総監督を歴任。1971年にはザールブリュッケン放送交響楽団の首席指揮者に就任。さらに1984年からはハンブルク州立歌劇場の音楽総監督も務めた。

また、指揮者としては、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮して尹伊桑(ユン・イサン)などの初演を手がけた他、バイロイト音楽祭でワーグナーの《パルジファル》を指揮。その後、1999年から2011年にかけてバーデン=バーデン・フライブルクSWR交響楽団の首席客演指揮者にも就任している。日本でも、NHK交響楽団や東京都交響楽団に客演している。

一方、作曲活動も旺盛で、オーケストラ、室内楽アンサンブル、ソロ楽器、ボーカル音楽、音楽劇場向けなど、幅広い分野の楽曲を作曲した。代表作に日本からのインスピレーションを取り込んだ《無字の経》、シューベルト作曲の《冬の旅》の編曲シリーズがある。

また、1988年から2000年までフランクフルト音楽・舞台芸術大学の教授を務めた。この26日にはベートーヴェンのディアベッリ変奏曲の編曲版「大きなアンサンブルのための33の変更に対する33の変更」の新バージョンがウィーンのコンツェルトハウスで初演される予定だった。

写真:SWR Sinfonieorchester Baden-Baden und Freiburg




関連記事

  1. ウィーン発 〓 ウィーン・フィルのサマー・ナイト・コンサート、今年はトゥガン・ソヒエフが指揮

  2. トロント発 〓 カナディアン・オペラ・カンパニーが2020/2021シーズンの公演ラインナップを発表

  3. 訃報 〓 スティーヴン・ソンドハイム(91)アメリカの作曲家・作詞家

  4. ロサンゼルス発 〓 ドゥダメルがロサンゼルス・フィルとの契約を延長

  5. ナンテール発 〓 名曲《ボレロ》の著作権をめぐる訴訟で、保護期間の延長を求める承継者らの訴えを裁判所が棄却

  6. 訃報 〓 エツィオ・ボッソ(48)イタリアのピアニスト、作曲家、指揮者

  7. タンペレ発 〓 サントゥ=マティアス・ロウヴァリが2022/2023でタンペレ・フィルの芸術監督兼首席指揮者を退任

  8. バイロイト発 〓 バイロイト音楽祭が2023年の概要を発表、パブロ・エラス=カサド、ナタリー・シュトゥッツマンが音楽祭デビュー

  9. バンベルグ発 〓 ヤクブ・フルシャがバンベルグ交響楽団との契約を延長

  10. ロンドン発 〓 英国のロイヤル・オペラが2024/2025シーズンの公演ラインナップを発表

  11. ニューヨーク発 〓 メトロポリタン歌劇場の新しい《指環》に暗雲、共同制作のイングリッシュ・ナショナル・オペラへの助成削減で

  12. アムステルダム発 〓 ロレンツォ・ヴィオッティがオランダ国立オペラ、オランダ・フィルの首席指揮者を退任

  13. サンフランシスコ発 〓 カリフォルニア州で再度のロックダウン、サンフランシスコ・オペラはドライブインシアター 「トスカ」を延期

  14. ロンドン発 〓 ヤクブ・フルシャ、ロイヤル・オペラ・ハウスの音楽監督に

  15. パリ発 〓 アラーニャが途中降板、パリ国立オペラの《ドン・カルロ》の公演で

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。