モスクワ発 〓 ボロディン弦楽四重奏団の新リーダーにニコライ・サチェンコ

2022/09/21

ロシアの名門カルテット「ボロディン四重奏団=Borodin Quartet」の第一ヴァイオリンの交代が発表された。1997年からその任にあったルーベン・アハロニアンが引退し、後任は1998年の第11回「チャイコフスキー国際コンクール」のヴァイオリン部門で優勝したニコライ・サチェンコ(Nikolai Sachenko)。

モスクワ音楽院の学生によって1945年に結成され、創設メンバーには後に指揮者として活躍したルドルフ・バルシャイがヴィオラ奏者として参加していた。モスクワ・フィルハーモニック弦楽四重奏団という名称でスタートしたが、10年目に近代ロシアの室内楽の改革者とされる作曲家ボロディンにちなんで改名された。作曲家ショスタコーヴィチとの交流、名ピアニストのスヴャトスラフ・リヒテルと長年にわたって共演を重ねたことで知られる。

メンバーは何度か替わっており、2008年にチェロのヴァレンティン・ベルリンスキーが亡くなって、創設メンバーは誰も残っていない。現在のメンバーは第2ヴァイオリンがセルゲイ・ロモフスキー(2011〜)、ヴィオラがイーゴリ・ナイディン(1995〜)、チェロがウラディーミル・バルシン(2007〜)。

サチェンコは1977年、旧・ソ連のカザフ共和国(現在のカザフスタン)時代の首都アルマ・アタ生まれの44歳。6歳からカムチャッカ半島の中心都市ペトロパブロフスク・カムチャツキーの音楽学校でヴァイオリンを学んだ。その後、モスクワ音楽院に進み、21歳で「チャイコフスキー国際コンクール」で優勝している。

2005年から2021年まで「ノーヴァヤ・ロシア」国立交響楽団のコンサートマスターを務め、ユーリ・バシュメットの下でオーケストラを率いてきた。その一方、2008年には「ブラームス・トリオ」に加わり、ピアニストのナタリア・ルビンシュタイン、チェリストのキリル・ロディンとの共演を重ねている。

写真:Borodin Quartet


  もっと詳しく ▷


関連記事

  1. プフォルツハイム発 〓 市立劇場の次期音楽総監督にダニエル・インバル

  2. アムステルダム発 〓 オランダ放送フィルが首席指揮者のカリーナ・カネラキスとの契約を再延長

  3. パリ発 〓 パリ国立オペラが新制作の《アイーダ》をストリーミング配信

  4. リッチモンド発 〓 メニューイン国際ヴァイオリン・コンクールでマリア・ドゥエニャスが優勝

  5. ロイトリンゲン発 〓 ヴュルテンベルク・フィルが首席指揮者のアリアーヌ・マティアクとの契約を延長

  6. フィレンツェ発 〓 ペレイラがフィレンツェ歌劇場の総裁に

  7. カールスルーエ発 〓 バーデン州立劇場が音楽総監督のゲオルク・フリッチュとの契約を延長

  8. キール発 〓 市立劇場の音楽総監督ベンジャミン・ライナースが2023/2024シーズンをもって退任

  9. ジュネーブ発 〓 ジュネーブ大劇院が新制作の《トゥーランドット》を無料ストリーミング

  10. プラハ発 〓 チェコ・フィルの音楽監督セミヨン・ビシュコフがロシア批判の声明

  11. 訃報 〓 コルネリウ・ムルグ(73)ルーマニアのテノール歌手

  12. ビトリア発 〓 指揮者のファンホ・メナがアルツハイマー病と診断されたことを明らかに

  13. ウィーン発 〓 国立歌劇場が2月第4週のストリーミング配信のラインナップを発表

  14. チューリッヒ発 〓 トーンハレが9月にリニューアル・オープン

  15. パリ発 〓 米国のソプラノ歌手リセッテ・オロペサにフランス政府の「芸術文化勲章シュヴァリエ」

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。