モントリオール発 〓 モントリオール響がロシアの若手ピアニストの出演をキャンセル、ウクライナ・コミュニティーと楽団員の反発で

2022/03/11

モントリオール交響楽団(Montreal Symphony Orchestra)がロシアのピアニスト、アレクサンダー・マロフィーエフ(Alexander Malofeev)の3月の3回の出演がキャンセルされると発表した。ロシアのウクライナ侵略を受けての判断。世界最大のウクライナ・コミュニティーからの圧力に加え、楽団員からの反発もあるという。

出演する予定だったのは、3月9日、10日、13日の3回のコンサート。マイケル・ティルソン・トーマスの指揮で、プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番を演奏することになっていた。マロフィーエフにとってはモントリオール・デビューの場となるはずだった。

しかし、約200万人といわれる世界最大のウクライナ・コミュニティーからの圧力に加え、一部の楽団員が共演を拒否したことから、オーケストラは「今週演奏させるのは不適切」としてキャンセルを発表した。

マロフィーエフはウクライナ東部ドネツク近郊生まれの20歳。「真実は、私たちの誰もが予測することができなかった恐ろしくて血なまぐさい決定のために、すべてのロシア人が何十年も罪悪感を感じるだろうということです」とフェイスブックに投稿、ロシアの侵略を批判しているが、バンクーバーのコンサートもキャンセルされたという。

ただ、オーケストラの声明では加えて「しかし、私たちは平和と希望のメッセージを受け入れるすべての国籍の芸術家との関係を維持することの重要性を信じ続けています。状況が許せば、この並外れたアーティストを迎えることを楽しみにしています」と述べている。

写真:Orchestre symphonique de Montréal


関連記事

  1. ドレスデン発 〓 ドレスデン・シュターツカペレが2021/2022シーズンの公演ラインナップを発表

  2. ニューヨーク発 〓 メトロポリタン歌劇場が2020/2021シーズンの公演ラインナップを発表

  3. トリノ発 〓 王立歌劇場がストリーミング配信、毎日違った作品をアップ

  4. ストックホルム発 〓 アンナ・ネトレプコに「ポーラー音楽賞」

  5. ロンドン発 〓 マリン・オールソップがフィルハーモニア管の首席客演指揮者に

  6. 訃報 〓 ギヤ・カンチェリ(84)ジョージア出身の作曲家

  7. プラハ発 〓 国立歌劇場の音楽監督にカール・ハインツ・シュテフェンス

  8. ストラスブール発 〓 初演200年を迎えた《第九》を、「Arte」が4都市4オーケストラの映像を繋いで放送

  9. 東京発 〓 NHK交響楽団が2022/2023シーズンの公演ラインナップを発表、トゥガン・ソヒエフも客演

  10. 訃報 〓 ディナ・ウゴルスカヤ(46)旧ソ連出身のドイツのピアニスト

  11. ミュンヘン発 〓 バイエルン州立オペラが2024/2025シーズンの公演ラインナップを発表、トビアス・クラッツァー演出の新しい《ニーベルングの指環》始動

  12. ウィーン発 〓 国立バレエの芸術監督にアレッサンドラ・フェリ

  13. チューリッヒ発 〓 ヴァイオリニストのダニエル・ホープがチューリッヒ室内管との契約を延長

  14. アムステルダム発 〓 オランダ政府がロックダウンを延長、2022年1月14日まで

  15. バート・イシュル発 〓 レハール音楽祭は作曲者の生誕150年祝えず

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。