ウィーン発 〓 コンツェルトハウスがクルレンツィス&ムジカエテルナのコンサートをキャンセル、ウクライナ大使の要請受け

2022/04/12

ウィーンのコンツェルトハウスが10日に行われる予定だったテオドール・クルレンツィス(Teodor Currentzis)率いるムジカエテルナのコンサートを突然キャンセルした。

10日のコンサートは、ウクライナ支援のためのチャリティー・コンサート。しかし、ウクライナ大使からウクライナのためのコンサートにロシアのアーティストを参加させないよう正式な要請があり、ホール側はその意向を尊重したと説明している。

クルレンツィス率いるムジカエテルナは、ロシア第二の銀行VTB銀行が設立に関わり、長くスポンサーを務めてきた団体。VTB銀行はプーチン大統領に近く、ウクライナ侵略により制裁を受けている。

クルレンツィス自身は3月末、首席指揮者を務める南西ドイツ放送交響楽団と共同声明を出し、ヨーロッパ・ツアーでロシアとウクライナの作曲家の作品を同時に取り上げる姿勢を表明してきたが、個人的にはロシアの侵略に対して特別なアクションは起こしていない。

コンツェルトハウスは、「ロシア連邦のウクライナに対する侵略戦争によって計り知れない苦しみがある時、サンクト・ペテルブルクを拠点とするオーケストラの演奏が政治的側面を持つことを無視することはできない。私たちは、ウクライナにおける戦争犯罪についての絶望を理解し、共有し、この侵略を遠慮なく非難します」と述べている。

クルレンツィスとムジカエテルナは次のシーズンも出演が予定されていたが、ホール側は、オーケストラが独立した資金を確保できるまで、チケットの販売を一時停止することも発表している。

写真:SWR Symphonieorchester


関連記事

  1. ウィーン発 〓 ウィーン放送響が首席指揮者のマリン・オールソップとの契約を延長

  2. ベルリン発 〓 ベルリン・ドイツ・オペラがワーグナー《リエンツィ》をストリーミング配信

  3. ミュンヘン発 〓 ワーグナーの曽孫エヴァ・ワーグナー=パスキエ、イザール川で仮死状況で発見されるも昏睡状態

  4. ブダペスト発 〓 ハンガリー国立歌劇場が世界初演されたばかりのエトヴェシュの新作《ヴァルスカ》を無料ストリーミング配信

  5. 訃報 〓 アーロン・ローザンド(92)米国のヴァイオリニスト

  6. ニューヨーク発 〓 ニューヨーク・フィルの活動再開は2021年1月

  7. ミュンヘン発 〓 青木尚佳がミュンヘン・フィルのコンサートマスターに

  8. ベルリン発 〓 「オパー・マガジン」が新しいオペラの年間賞を創設

  9. シドニー発 〓 オペラハウスが5日に《メリー・ウィドウ》で再開場

  10. ブダペスト発 〓 イヴァン・フィッシャーが室内コンサートの動画を毎晩投稿と表明

  11. 札幌発 〓 PMF札幌2020が開催を断念

  12. ニューヨーク発 〓 メトロポリタン歌劇場が音楽監督ヤニック・ネゼ=セガンとの契約を延長

  13. パリ発 〓 国立オペラのリスナー総裁が新制作のキャンセルに言及、長引くストライキの影響で

  14. ロンドン発 〓 ルプーが引退へ

  15. ハノーファー発 〓 州立劇場が2024/2025シーズンの公演ラインナップを発表、第2カペルマイスターの熊倉優が新制作の2作品を指揮

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。