ウィーン発 〓 ウィーン少年合唱団が2021年の海外ツアーをすべてキャンセルも、10月にニュー・アルバムをリリース

2021/09/07
【最終更新日】2021/09/08

「天使の歌声」として知られるオーストリアのウィーン少年合唱団(Wiener Sängerknaben)が2021年の海外ツアーをすべてキャンセルすると発表した。12歳未満の子供に対して新型コロナワクチンの接種が行われないことに鑑みて。5月と6月に予定されていた日本ツアーのキャンセルは既に発表されているが、新たにアメリカとドイツへのクリスマス・ツアーなどがキャンセルされる。

ウィーン少年合唱団は15世紀、ハプスブルク家出身の神聖ローマ帝国の皇帝が宮廷の聖歌隊として創設したもの。500年以上の歴史を誇り、2017年には、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産にも登録されている。

政府からの支援を受けない非営利団体で、メンバーはオーストリアだけでなく、20の国と地域から集まった変声前の9歳から14歳までの少年100人で構成。ウィーン市内のアウガルテン宮殿にある全寮制の学校で学びながら、4グループに分かれて国内外で年間300公演を行い、その収入が運営費の7割を支えている。

それだけにコロナ禍による被害も甚大。昨年3月以降のすべての公演はキャンセルされ、公演収入は100万ユーロ(約1億2000万円)減となって存続の危機に立たされた。現在は政府の支援を受けて活動も正常化しつつあり、10月には 「Together」というタイトルのアルバムも「ドイツ・グラモフォン」レーベルからリリースされる。

写真:Wiener Sängerknaben / Lukas Beck


関連記事

  1. サンフランシスコ発 〓 サンフランシスコ・オペラの次期音楽監督にキム・ウンソン

  2. ロンドン発 〓 ターフェルが足首を骨折、当面の出演をキャンセル

  3. クリーブランド発 〓 フランツ・ウェルザー=メストがクリーブランド管との契約を延長

  4. ノイシュトレリッツ発 〓 ノイブランデンブルク・フィルの新しい音楽監督にダニエル・ガイス

  5. ネイプルズ発 〓 ウィーン・フィルの米国ツアー、二人目の代役指揮者はデイヴィッド・ロバートソン

  6. ザンクト・ペルテン発 〓 トーンキュンストラー管の次期首席指揮者にファビアン・ガベル、佐渡裕の後任

  7. ウィーン発 〓 2023年の「ニューイヤー・コンサート」の指揮者はフランツ・ウェルザー=メスト

  8. ベルリン発 〓 ドイツの演出家クラウス・グートがロシアの「ゴールデン・マスク賞」の受賞を拒否

  9. オスロ発 〓 オスロ・フィルがラウス・マケラとの契約を更新、首席指揮者就任前の異例の延長

  10. ローマ発 〓 サンタ・チェチーリア音楽院が東洋人の学生のレッスンを停止

  11. 訃報 〓 スティーヴン・ソンドハイム(91)アメリカの作曲家・作詞家

  12. ベルリン発 〓 バレンボイムが健康上の理由から、5月1日のベルリン・フィル「ヨーロッパ・コンサート」の指揮から降板

  13. ウィーン発 〓 フォルクスオーパーが芸術監督のロッテ・デ・ベアとの契約を延長

  14. リンツ発 〓 州立劇場の首席指揮者にイングマール・ベック

  15. 訃報 〓 ジョン・キンセラ(89)アイルランドの作曲家

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。