ウィーン発 〓 アンゲリカ・キルヒシュラーガーがオペラからの引退を表明

2024/01/05

オーストリアのメゾ・ソプラノ歌手、アンゲリカ・キルヒシュラーガー(Angelika Kirchschlager)がオペラからの引退を明らかにした。チューリッヒ歌劇場の《スウィーニー・トッド》に出演するに当たって行われたインタビューで自ら語ったもので、13日の公演が最後の出演になるという。

キルヒシュラーガーは1965年、ザルツブルク生まれの58歳。地元のモーツァルテウム音楽院で打楽器とピアノを学んだ後、ウィーン音楽アカデミーでゲルハルト・カーリーとワルター・ベリーに師事。1993年、ウィーン国立歌劇場のメンバーとなり、モーツァルト《フィガロの結婚》のケルビーノ役でオペラ・デビューした。

その後、リサイタルとオペラで国際的なキャリアを築き、中でも、リヒャルト・シュトラウスとモーツァルトの演奏について高い評価を得ており、ウィーンのモーツァルト協会からは「モーツァルト解釈賞」を受賞している。

2002年には、ロンドンのロイヤル・オペラ・ハウスでニコラス・モーのオペラ《ソフィーの選択》の世界初演で主役のソフィーを歌い、その後のワシントン・オペラでの改訂版の米国初演、ウィーン・フォルクスオーパー・ウィーンでのオーストリア初演でも歌った。

2007年、ウィーン国立歌劇場から「宮廷歌手」の称号を与えられた他、2009年よりロンドンの王立音楽アカデミーの名誉会員を務める。また、2013年には、パフォーマとしてのクラシック音楽業界への寄与、若い世代にクラシック音楽の魅力を伝え続ける教師としての活動に対して「ヨーロッパ文化賞」が贈られている。

シューベルト、マーラー、ブラームスの歌曲集のアルバムで、ドイツのエコー賞を3回、米国のグラミー賞を受賞しており、セスト役で出演した英国グラインドボーン音楽祭のヘンデル《ジュリアス・シーザー》など、録音、映像も数多い。夫君はバリトン歌手のハンス・ペーター・カンメラー。今後はリサイタル、コンサート、指導者として活動するという。

写真:Askonas Holt /  Nikolaus Karlinsky


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