訃報 〓 ミキス・テオドラキス(96)ギリシャの作曲家・社会活動家

2021/09/06
【最終更新日】2023/02/06

ミキス・テオドラキス(Mikis Theodorakis)が9月2日、アテネの病院で亡くなった。96歳だった。クラシック、オペラ、バレエからギリシャでのポピュラー音楽、映画音楽と幅広い分野で作曲活動を行い、戦後のギリシャを代表する音楽家。左翼活動家としても知られ、国会議員、大臣も経験し、ギリシャの芸術、文化、政治に多大な影響を与えた。

エーゲ海のヒオス島生まれ。第2次大戦中はドイツ、イタリア軍へのレジスタンス活動に参加。1943年にアテネに引っ越し、ギリシャ共産党に加わった。その後、旺盛な捜索活動をスタートさせ、1964年の映画「その男ゾルバ」の音楽を手掛け、ギリシャの民族音楽を取り込んだ音楽で大きな注目を集めた。

1965年、ナチスのホロコーストによる犠牲者に捧げられたギリシャの作家ヤコボス・カンバネリスの詩に基づくオラトリオ《マウトハウゼン》3部作を発表して作曲界の名声を確立した。

1967年にギリシャで軍事クーデターが起きるとそれに反抗して逮捕され、釈放された後、1970年から1974年の軍政崩壊までパリで過ごした。その間に1969年の「Z」、1973年の「セルピコ」などの映画の音楽を手掛けている。帰国時は母国から英雄として迎えられ、1981年から10年にわたって国会議員、大臣も経験した。

1980年代から交響曲、合唱、室内楽、演劇、映画、連作歌曲で数多くの作品を発表、その後、1990年代に入るとオペラの作曲に傾注し、古代ギリシャ悲劇に基づいた1991年の《メデア》、1995年の《エレクトラ》、1999年《アンティゴネ》の3部作を発表して改めて世界的な注目を集めた。

写真:Simela Pantzartzi / EPA


関連記事

  1. 東京発 〓 紀尾井ホール室内管が首席指揮者のトレヴァー・ピノックとの契約を延長

  2. ソフィア発 〓 若手歌手のための「オペラリア」、2025年はブルガリアの首都ソフィアで

  3. パリ発 〓 五輪開会式はクリスティアン・マチェラルがフランス国立管を指揮

  4. テルアビブ発 〓 ズービン・メータに新型コロナの陽性反応、イスラエル・フィルの最終日はキャンセル

  5. ウィーン発 〓 国立歌劇場の字幕サービスに中国語とスペイン語

  6. ロンドン発 〓 ヴァイオリンのニコラ・ベネデッティが新しい古楽オーケストラを旗揚げ

  7. パリ発 〓 劇場の占拠、フランス全土へ拡大

  8. 訃報 〓 レイモンド・レッパード(92)英国の指揮者

  9. トゥーロン発 〓 トゥーロン歌劇場の音楽監督にヴィクトリアン・ヴァノステン

  10. エーテボリ発 〓 ソプラノのバーバラ・ハンニガンがエーテボリ響の首席客演指揮者を続投

  11. 東京発 〓 N響が早くも2025/2026シーズンの公演ラインナップを発表

  12. 上海発 〓 第3回「上海アイザック・スターン国際ヴァイオリン・コンクール」の本選はオンライン審査へ

  13. ローマ発 〓 パッパーノの後任にガッティが急浮上、サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団

  14. 訃報 〓 アンナー・ビルスマ(85)オランダのチェロ奏者

  15. ブリュッセル発 〓 モネ劇場が新制作の《ねじの回転》をストリーミング配信

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。