ウクライナのヴァイオリニスト、イゴール・オイストラフ(Igor Oistrakh)がモスクワで8月14日に亡くなった。90歳だった。伝説のヴァイオリニスト、ダヴィッド・オイストラフの息子で、モスクワ音楽院で数多くの後進を育て、1996年からはブリュッセルの王立音楽院の教授を務めた。
旧ソ連・ウクライナ共和国の首都オデッサ生まれ。父親からヴァイオリンの手ほどきを受け、その後、父親を指導したピョートル・ストリャルスキーの指導を受けて、12歳でモスクワの中央音楽学校に入学した。1949年にブダペストで開催された国際ヴァイオリン・コンクールで優勝してモスクワ音楽院に進んだ。
1952年にヴィエニャフスキ国際ヴァイオリン・コンクールで優勝、翌年にはベートーヴェンとハチャトゥリアンの協奏曲でロンドンにデビューした。ロンドンではその後、1959年に父親と一緒にバッハのヴァイオリン協奏曲第1番、第2番、2つのヴァイオリンのための協奏曲を録音、名盤の誉れ高い。
その後、1965年からモスクワ音楽院で教鞭を執り、自ら指揮者を務めるアンサンブルを主宰。ソ連の崩壊後はブリュッセルの王立音楽院の教授に転身した。オーストリアのザルツブルク音楽祭、スイスのヴェルビエ音楽祭の夏季セミナーなどで後進の指導に当たった。
夫人はピアニストのナターリャ・ゼルツァロワで、モーツァルトとベートーベンのヴァイオリン・ソナタ全集の他、数多くの録音を残している。子息のヴァレリー・オイストラフはヴィオラ奏者で、父と同じブリュッセルの王立音楽院の教授を務めている。
写真:Melodiya
訃報 〓 イーゴリ・オイストラフ(90)ウクライナのヴァイオリニスト
2021/09/06
【最終更新日】2023/02/06
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