訃報 〓 イーゴリ・オイストラフ(90)ウクライナのヴァイオリニスト

2021/09/06
【最終更新日】2023/02/06

ウクライナのヴァイオリニスト、イゴール・オイストラフ(Igor Oistrakh)がモスクワで8月14日に亡くなった。90歳だった。伝説のヴァイオリニスト、ダヴィッド・オイストラフの息子で、モスクワ音楽院で数多くの後進を育て、1996年からはブリュッセルの王立音楽院の教授を務めた。

旧ソ連・ウクライナ共和国の首都オデッサ生まれ。父親からヴァイオリンの手ほどきを受け、その後、父親を指導したピョートル・ストリャルスキーの指導を受けて、12歳でモスクワの中央音楽学校に入学した。1949年にブダペストで開催された国際ヴァイオリン・コンクールで優勝してモスクワ音楽院に進んだ。

1952年にヴィエニャフスキ国際ヴァイオリン・コンクールで優勝、翌年にはベートーヴェンとハチャトゥリアンの協奏曲でロンドンにデビューした。ロンドンではその後、1959年に父親と一緒にバッハのヴァイオリン協奏曲第1番、第2番、2つのヴァイオリンのための協奏曲を録音、名盤の誉れ高い。

その後、1965年からモスクワ音楽院で教鞭を執り、自ら指揮者を務めるアンサンブルを主宰。ソ連の崩壊後はブリュッセルの王立音楽院の教授に転身した。オーストリアのザルツブルク音楽祭、スイスのヴェルビエ音楽祭の夏季セミナーなどで後進の指導に当たった。

夫人はピアニストのナターリャ・ゼルツァロワで、モーツァルトとベートーベンのヴァイオリン・ソナタ全集の他、数多くの録音を残している。子息のヴァレリー・オイストラフはヴィオラ奏者で、父と同じブリュッセルの王立音楽院の教授を務めている。

写真:Melodiya


関連記事

  1. 訃報 〓 ハンスゲオルグ・シュマイザー(63)オーストリアのフルート奏者

  2. モスクワ発 〓 パヴェル・コーガンがモスクワ国立響の芸術監督と首席指揮者を辞任、ウクライナ侵略受けて

  3. プラハ発 〓 ラトルがチェコ・フィルの首席客演指揮者に

  4. 東京発 〓 第3弾のラインナップを発表、新国立劇場の「巣ごもりシアター」

  5. シドニー発 〓 シドニー響の次期首席指揮者にシモーネ・ヤング

  6. 訃報 〓 ジョナサン・ミラー(85)英国の演出家

  7. ニューヨーク発 〓 カーネギーホールとウィーン・フィルが指揮者交代で同意、ロシアのウクライナ進攻でゲルギエフ降板

  8. ロッテルダム発 〓 ロッテルダム・フィルもゲルギエフとの「関係を終了」と発表

  9. フィラデルフィア発 〓 フィラデルフィア管弦楽団が2022/2023シーズンの公演ラインナップを発表、トゥガン・ソヒエフも客演

  10. ベルリン発 〓 アルテミス弦楽四重奏団が活動休止を発表

  11. ライプツィヒ発 〓 ネルソンスたちの擬陽性反応で、ゲヴァントハウス管のコンサート中止に

  12. ウィーン発 〓 指揮者のフランツ・ヴェルザー=メストがウィーン・フィルの名誉会員に

  13. アムステルダム発 〓 ロレンツォ・ヴィオッティがオランダ国立オペラ、オランダ・フィルの首席指揮者を退任

  14. フィレンツェ発 〓 フィレンツェ歌劇場でもオーケストラがストライキに突入、《椿姫》の最終公演はメータがピアノを指揮

  15. 東京発 〓 2020年度の分配額が過去最高の1206億円、日本音楽著作権協会

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。