訃報 〓 バリー・タックウェル(88)オーストラリアのホルン奏者

2020/01/18
【最終更新日】2023/02/16

オーストラリアのホルン奏者バリー・タックウェル(Barry Tuckwell)が16日に亡くなった。88歳だった。メルボルン生まれで現地で音楽教育を受けた後、1950年に英国に移住し、1955年にロンドン交響楽団に入団、首席奏者を13年間務めた。退団後はソリスト、指揮者としても活躍。1970年から1976年に国際ホルン協会の初代会長を含め、さらに1992年から1994年にかけて会長を務めた。50を超える録音を残し、米国グラミー賞に3度ノミネートされている。

父親はオルガニストで、幼い頃からピアノ、バイオリン、オルガンを学び、シドニー音楽院でホルンを学んだ。15歳でメルボルン交響楽団の第3ホルンになり、その1年後、指揮者のユージン・グーセンスに誘われてシドニー交響楽団で首席奏者を3年半務めた。英国に移住すると、名指揮者のジョン・バルビローリに見出されてハレ管弦楽団の首席奏者に。また、名ホルン奏者のデニス・ブレインとの出会いに大きな影響を受けたという。

その後、スコッティッシュ・ナショナル管弦楽団、ボーンマス交響楽団を経て、ロンドン交響楽団に。在籍中は理事会に選出され、理事会の議長を6年間務めた。1965年には「大英帝国勲章OBE」に叙せられている。退団後はソロ活動のかたわら、同時にロンドンの王立音楽院、メルボルン大学で後進の指導に当たった。1980年、母国オーストラリアに。それから4年間、タスマニア交響楽団の首席指揮者を務めた。1997年、ホルン奏者としてのお別れコンサートを米国ボルチモア交響楽団と行った。

写真:Etcetera Records


関連記事

  1. ロンドン発 〓 ロイヤル・オペラがアントニオ・パッパーノに史上初の名誉指揮者の称号

  2. エバンストン発 〓 2021年の「ゲオルグ・ショルティ指揮者アワード」はジェンマ・ニューに

  3. チューリッヒ発 〓 ヴァイオリニストのダニエル・ホープがチューリッヒ室内管との契約を延長

  4. ロンドン発 〓 ヘンデルの旧居が来年5月、リニューアル・オープン

  5. パリ発 〓 指揮者のクリスティアン・マチェラルがフランス国立管との契約を延長

  6. アムステルダム発 〓 コンセルトヘボウが5月いっぱい閉鎖、「マーラー音楽祭」もお流れ

  7. ウィーン発 〓 国立歌劇場が新シーズン、2025/2026シーズンの公演ラインナップを発表

  8. ニュルンベルク発 〓 州立劇場の次期音楽総監督にローランド・ベーア、ヨアナ・マルヴィッツの後任

  9. ストックホルム発 〓 スウェーデンも劇場の一時閉鎖へ

  10. ニューヨーク発 〓 ヴァイオリンのヒラリー・ハーンが年内の出演をすべてキャンセル、復帰時期は未定

  11. ブレゲンツ発 〓 ブレゲンツ音楽祭は開催断念、グラフェネック音楽祭は開催を表明

  12. 東京発 〓 来日したエーテボリ響の公演中止、そのまま帰国へ

  13. ネイプルズ発 〓 ウィーン・フィルの米国ツアー、二人目の代役指揮者はデイヴィッド・ロバートソン

  14. ロサンゼルス発 〓 ロサンゼルス・フィルが2020/2021シーズンのキャンセルを発表、新型コロナウイルスの感染拡大で

  15. リーズ発 〓 英国のオペラ・ノースが新制作のヘンデル《アルチーナ》をストリーミング配信

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。