サンフランシスコ発 〓 サンフランシスコ響の新シーズンの開幕公演が合唱団のストでお流れ、サロネンは最後のシーズンの開幕飾れず

2024/09/21

サンフランシスコ交響楽団(San Francisco Symphony Orchestra)が新シーズンの出だしから躓いた。9月19日、20日、21日に予定された開幕コンサートが合唱団のストライキでキャンセルされた。音楽監督を務めるエサ=ペッカ・サロネン(Esa-Pekka Salonen)がヴェルディのレクイエムを指揮する予定だった。

現地での報道をまとめると、オーケストラの経営陣は合唱団に対し、2024/2025シーズンは現行賃金を維持するが、2025/2026シーズンは10%の賃下げを提案。これに対して合唱団は5月から、メジャー・オーケストラの合唱団の中で最も低賃金であると主張、交渉はまとまらなかったという。合唱団は32人編成で、米国音楽家組合(AGMA)に所属している。

オーケストラは2020年、マイケル・ティルソン=トーマスの後任としてサロネンを音楽監督に迎えたが、プログラムの削減やツアーの中止をめぐって経営陣との考え方の相違が表面化、サロネンは契約を延長せず、5年の任期が切れる2024/2025シーズンをもって退任することを明らかにしていた。

一方、経営陣は公演数がパンデミック以前に完全には戻っておらず、営業赤字が10年以上にわたって増え続けており、10年間の累積赤字は1億1600万ドル(約175億円)に達していること、このまま進むと、累積損失はこの5年でさらに8000万ドル(約121億円)増加する可能性があると説明、プログラムの削減やツアーの中止は「ひとえに当面の財源不足によるもの」と釈明していた。

写真:San Francisco Symphony / Stefan Cohen


関連記事

  1. パレルモ発 〓 ムーティが50年ぶりにマッシモ劇場管弦楽団の指揮台に

  2. 北京発 〓 フィラデルフィア管が中国ツアーをスタート

  3. ドレスデン発 〓 ザクセン州政府がティーレマンと契約延長せず、シュターツカペレ・ドレスデンの首席指揮者は2024年まで

  4. ウィーン発 〓 国立歌劇場が約50ぶりの新制作となる《ニュルンベルクのマイスタージンガー》をライブ・ストリーミング

  5. 訃報 〓 ハンス=ギュンター・ネッカー(92)ドイツのバス歌手

  6. ペルミ発 〓 クルレンツィス&ムジカ・エテルナのベートーヴェン交響曲第1弾が登場

  7. シュトゥットガルト発 〓 SWR交響楽団の次期首席指揮者兼芸術監督にフランソワ=グザヴィエ・ロト、クルレンツィスは退任へ

  8. アムステルダム発 〓 ミラノ響のコンサートで気候変動活動家が抗議の叫び、演奏が中断

  9. シンガポール発 〓 シンガポール響の次期音楽監督にフィンランドの指揮者ハンヌ・リントゥ

  10. トゥールーズ発 〓 キャピトル国立管が音楽監督を辞任したトゥガン・ソヒエフに「名誉指揮者」の称号

  11. ロンドン発 〓 指揮者のサカリ・オラモがBBC響との契約を延長

  12. ルクセンブルク発 〓 指揮者のグスターボ・ヒメノがルクセンブルク・フィルとの契約を延長

  13. パリ発 〓 ゼネスト、パリ国立オペラを直撃

  14. アケルスベルガ発 〓 アップル・ミュージックが創立50周年迎えたスウェーデンの名門レーベル「BIS」を買収

  15. エルサレム発 〓 イスラエルで新型ウイルスの感染再拡大、エルサレム室内楽音楽祭中止へ

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。