ペルー出身で国際的な活躍を続けたテノール歌手ルイジ・アルヴァ(Luigi Alva)が5月15日、イタリアのマリアーノ・コメンセで亡くなった。98歳だった。モーツァルトやロッシーニ作品を中心に、1960年代半ばからニューヨークのメトロポリタン歌劇場などで世界的な活躍、往年の指揮者、名歌手達と共演を重ねたレジェンドの一人。
ペルー・パイタの生まれで、本名はルイス・エルネスト・アルヴァ・イ・タレド。海軍に勤務した後、リマの国立音楽院で学び、1953年にミラノに移住してスカラ座で研鑽を積んだ。1954年にミラノのテアトロ・ヌオーヴォでヴェルディ《椿姫》アルフレード役でヨーロッパ・デビュー。1956年にはスカラ座でロッシーニ《セビリアの理髪師》のアルマヴィーヴァ伯爵役でデビュー、一躍注目を集めた。
1964年にはヴェルディ《ファルスタッフ》のフェントン役でメトロポリタン歌劇場にデビューしている。軽やかなリリック・テノールの声、明瞭な発音と優雅なフレーズ回しで知られ、メトロポリタン歌劇場には1975年まで101回の公演に出演を重ねた。
スカラ座ではクラウディオ・アバドの指揮で、ロッシーニ《セビリアの理髪師》、ロッシーニ《チェネレントラ》の録音に参加している。1980年にはリマで「アソシアシオン・プロリカ・デル・ペルー」を設立して芸術監督に就任。1989年にオペラの舞台から引退した。
その後は若手歌手向けの「ルイジ・アルヴァ賞」を設立、世界各地でマスター・クラスを開催した。2005年、ペルー郵政局から記念切手が発行され、2012年にはペルー文化省から「文化功労者勲章」が授与されている。
写真:Metropolitan Opera / Louis Melancon
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