ダニエル・バレンボイムが11日から、ベルリン州立歌劇場を率いて母国アルゼンチンでのツアーをスタートさせた。南米屈指のオペラハウス「テアトロ・コロン」でワーグナー《トリスタンとイゾルデ》を上演、その合間にキルチネル文化センター(CCK)でベルリン・シュターツカペレ(歌劇場管弦楽団)のコンサートを行う。バレンボイムは1942年、ブエノスアイレスの生まれで、1952年にイスラエルに移住した。ブエノスアイレスではこれまで何度も演奏はしているが、「テアトロ・コロン」で指揮するのは初めてという。上演される《トリスタンとイゾルデ》は、2000年に初演されたハリー・クプファー演出のプロダクション。ツアーにペーター・ザイフェルト、アニャ・カンペ、イレーネ・テオリン、アンゲラ・デノケ、ボアズ・ダニエルたちが参加しており、11日の上演で開幕、22日の上演で閉幕する。
ところが、そのツアー中の17日夜、ベルリン・シュターツカペレのコンサートで、バレンボイムが聴衆のマナーの悪さに我慢できず、演奏をストップさせるという“事件”が起きた。17日はブラームスの交響曲全曲演奏の1日目で、第1番と第2番を演奏することになっていた。現地の報道によると、当日は聴衆の集まりが悪く、演奏会自体が20分遅れでスタート。先に演奏された第2番の1楽章が終わった瞬間に拍手とブラヴォーの掛け声が飛んだことから、バレンボイムは第2楽章に入る前に聴衆に向かって最後まで聴くよう、丁寧に説明したという。またその後、第1番の演奏をしている時にオーケストラ後方の席でフラッシュが焚かれたことから、演奏を再度止め、客席の前まで行って「光が目を傷つけるし、撮影は許可されていない」と話しかけ、「それにその機械を手に持っていたら、オーケストラに拍手を贈ることができないでしょ?」と注意してから演奏を再開したという。
写真:ESPECTÁCULOS / Federico Kapum
ブエノスアイレス発 〓 バレンボイムが聴衆に我慢できず演奏中断
2018/07/20
【最終更新日】2018/07/25
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