ブエノスアイレス発 〓 バレンボイムが聴衆に我慢できず演奏中断

2018/07/20
【最終更新日】2018/07/25

ダニエル・バレンボイムが11日から、ベルリン州立歌劇場を率いて母国アルゼンチンでのツアーをスタートさせた。南米屈指のオペラハウス「テアトロ・コロン」でワーグナー《トリスタンとイゾルデ》を上演、その合間にキルチネル文化センター(CCK)でベルリン・シュターツカペレ(歌劇場管弦楽団)のコンサートを行う。バレンボイムは1942年、ブエノスアイレスの生まれで、1952年にイスラエルに移住した。ブエノスアイレスではこれまで何度も演奏はしているが、「テアトロ・コロン」で指揮するのは初めてという。上演される《トリスタンとイゾルデ》は、2000年に初演されたハリー・クプファー演出のプロダクション。ツアーにペーター・ザイフェルト、アニャ・カンペ、イレーネ・テオリン、アンゲラ・デノケ、ボアズ・ダニエルたちが参加しており、11日の上演で開幕、22日の上演で閉幕する。

ところが、そのツアー中の17日夜、ベルリン・シュターツカペレのコンサートで、バレンボイムが聴衆のマナーの悪さに我慢できず、演奏をストップさせるという“事件”が起きた。17日はブラームスの交響曲全曲演奏の1日目で、第1番と第2番を演奏することになっていた。現地の報道によると、当日は聴衆の集まりが悪く、演奏会自体が20分遅れでスタート。先に演奏された第2番の1楽章が終わった瞬間に拍手とブラヴォーの掛け声が飛んだことから、バレンボイムは第2楽章に入る前に聴衆に向かって最後まで聴くよう、丁寧に説明したという。またその後、第1番の演奏をしている時にオーケストラ後方の席でフラッシュが焚かれたことから、演奏を再度止め、客席の前まで行って「光が目を傷つけるし、撮影は許可されていない」と話しかけ、「それにその機械を手に持っていたら、オーケストラに拍手を贈ることができないでしょ?」と注意してから演奏を再開したという。

写真:ESPECTÁCULOS / Federico Kapum

関連記事

  1. コルドバ発 〓 コルドバ管弦楽団が芸術監督にカルロス・ドミンゲス=ニエト

  2. ベルリン発 〓 アルテミス・カルテットの新メンバー決定

  3. ベルリン発 〓 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団がオリジナルのフルトヴェングラー全集を発売

  4. ベルリン発 〓 クシシュトフ・ポロネクがベルリン・フィルのコンサート・マスターに

  5. ブリュッセル発 〓 エリザベート王妃国際音楽コンクールのバイオリン部門はステラ・チェンが優勝

  6. ベルリン発 〓 メータ、ベルリン・フィルの名誉会員に

  7. インディアナポリス発 〓 第10回「インディアナポリス国際ヴァイオリンコンクール」で外村理紗が2位

  8. ハレ発 〓 州立劇場の音楽総監督にアリアーヌ・マティアク

  9. BBCプロムス 〓 2018年の音楽祭プログラムを発表

  10. ベルリン発 〓 ドイツのオペラ雑誌「オペルンヴェルト」が「オブ・ザ・イヤー」を発表

  11. ブレゲンツ音楽祭 〓 公演DVD発売:2017 – 2018年の《カルメン》

  12. ベルリン発 〓 第1回「オーパス・クラシック賞」決まる

  13. タングルウッド音楽祭 〓 2018年の音楽祭のチケットを28日から券売

  14. ロンドン発 〓 ラトルが隠れた名作をディナー・パーティーでゲット!?

  15. METサマーHDフェスティバル 〓 この夏のラインナップを発表

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。