バーミンガム発 〓 財政破綻のバーミンガム市が市立交響楽団に対する年間約1億2,000万円の補助金を2025年に全額カット

2024/02/23

英国のバーミンガム市が財政破綻に直面、市立交響楽団(City of Birmingham Symphony Orchestra)をはじめとする芸術団体への補助金を打ち切る方針を打ち出した。今年は50パーセント削減、2025年4月には100パーセント削減するという。

バーミンガムは英国中部ミッドランドにある工業都市。産業革命期に鉄工業などで急速に発展し、人口約230万人を数え、同規模の人口を持つマンチェスターと英国第二の都市の座を争っている。

財政再建は待ったなしで、市民税を2年間で21%引き上げ、12億5,000万ポンド(約2,382億円)相当の資産を売却。同時に2年間で地方自治体史上最大となる3億ポンド(約572億円)の歳出削減に取り組むという。そのため、芸術団体への補助金をすべてカット、36ある図書館のうち25を閉鎖するという。

補助金のカットはオーケストラだけでなく、バーミンガム・ロイヤル・バレエ団、バーミンガム・オペラ・カンパニー、バーミンガムREPシアター、大聖堂まですべての団体に及び、オーケストラは104年にわたって受け取ってきた年間63万ポンド(約1億2,000万円)、バレエ団は年間15万4000ポンドの助成金を失うという。

市立交響楽団は1920年の創立で、サイモン・ラトル、アンドリス・ネルソンス、ミルガ・グラジニーテ=ティーラといった指揮者が首席指揮者を務めるなど、英国を代表するオーケストラの一つ。2023年からは山田和樹が音楽監督を務めており、昨年6月には山田に率いられて来日している。

補助金打ち切りに多くの文化人、芸術団体が再考を求める声を上げる中、オーケストラは「この削減は、私たちが市に提供できる仕事の幅広さと深みに永続的な影響を与えるだろうが、それでも私たちはバーミンガムの文化的景観の重要な部分であり続ける決意をしている」という力強い声明を出すなど意気軒昂。

写真:City of Birmingham Symphony Orchestra


  もっと詳しく ▷


関連記事

  1. バニング発 〓 アナログ・レコード人気に打撃、ラッカー盤製造メーカーの工場が全焼

  2. ムンバイ発 〓 若手歌手のための「オペラリア」、2024年はインドのムンバイで

  3. ウィーン発 〓 国立歌劇場が3月第2週のストリーミングのラインナップを発表

  4. ゲーラ発 〓 アンテンブルク・ゲーラ市立劇場の音楽総監督にルーベン・ガザリアン

  5. ウィーン発 〓 フィリップ・ジョルダン、国立歌劇場の音楽監督退任へ

  6. ケルン発 〓 指揮者のフランソワ=グザヴィエ・ロトがケルン市との契約を延長

  7. ライプツィヒ発 〓 ライプツィヒ市が次の「トーマスカントル」を募集

  8. バイロイト発 〓 ジョン・ルンドグレンが《さまよえるオランダ人》からも降板、バイロイト音楽祭の出演をすべてキャンセル

  9. ベルリン発 〓 バレンボイム入院長引き、5月のウェスト=イースタン・ディヴァン管のツアーの指揮をキャンセル

  10. ローザンヌ発 〓 ローザンヌ歌劇場が2021/2022シーズンの公演ラインナップを発表

  11. クリーブランド発 〓 クリーブランド管弦楽団がヨーロッパ・ツアーを中止

  12. フランクフルト発 〓 第9回「ショルティ国際指揮者コンクール」で、中国系ニュージーランド人の吕天贻が優勝

  13. エバンストン発 〓 2019年の「ゲオルグ・ショルティ指揮者アワード」はヤニブ・ディヌールに

  14. バンベルグ発 〓 ヤクブ・フルシャがバンベルグ交響楽団との契約を延長

  15. ロサンゼルス発 〓 ルドウィグ・ゴランソンが映画『オッペンハイマー』の音楽で2度目の作曲賞

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。