バイロイト発 〓 シモーネ・ヤングが音楽祭デビュー、音楽祭史上初めて《ニーベルングの指環》を指揮する女性指揮者に

2024/01/11

ドイツのバイロイト音楽祭(Bayreuther Festspiele)が2024年のスケジュールを発表した。シモーネ・ヤングが音楽祭にデビューを飾り、音楽祭史上初めて《ニーベルングの指環》を指揮する女性指揮者となることが明らかになり、再登板するナタリー・シュトゥッツマンとオクサーナ・リーニフを合わせて女性が3人となり、男性指揮者の数を上回るということになった。

発表によると、第112回の音楽祭となる2024年は7月25日から8月27日までの開催で、セミヨン・ビシュコフの指揮による新制作の《トリスタンとイゾルデ》で開幕する。《ニーベルングの指環》以外に《パルジファル》がパブロ・エラス=カサド、《タンホイザー》がシュトゥッツマン、《さまよえるオランダ人》がリーニフの指揮で再演される。

ヤングはオーストラリア・シドニー生まれの62歳。ニューサウス・ウェールズ州音楽院で作曲、指揮、ピアノを専攻。1985年にシドニー・オペラハウスで指揮者デビューを果たし、1986年に「オーストラリア最優秀新人賞」を受賞してドイツへ留学した。ケルン市立オペラでジェームズ・コンロンに、ベルリン州立オペラでダニエル・バレンボイムに師事している。

1993年に女性指揮者として初めてウィーン国立歌劇場で指揮。その後、ノルウェーのベルゲン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者(1998ー2002)、オペラ・オーストラリアの首席指揮者(2001ー2003)を歴任。2000年のシドニー五輪では開会式の国歌演奏をシドニー交響楽団を指揮して行っている。

女性初ということでは、ハンブルク州立オペラの総監督もそうで(2005ー2010)、2005年にウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮した初の女性指揮者でもある。2024年の《ニーベルングの指環》は元々、指揮者にウィーン国立歌劇場の音楽監督を務めるフィリップ・ジョルダンが予定されていたが、彼がキャンセルしたことで、ワーグナーを得意としてきたヤングが急きょ起用されたという。

作曲家ワーグナーが自ら創設し、他の作品だけを上演してきた音楽祭は2026年に150周年を迎える。ワーグナーのファン“ワグネリアン”にとっては“聖地”で、これまで世界的にチケットの争奪戦が繰り広がられてきたが、昨年は来場者が58,000人超で、史上初めてチケットが(全31公演のうちの3%が)売れ残るという事態に見舞われた。

写真:Sydney Symphony Orchestra


  音楽祭プロフィールはこちら ▷


関連記事

  1. ミュンヘン発 〓 ミュンヘン・フィルがトゥガン・ソヒエフを招いて特別演奏会を開催すると発表

  2. シュトゥットガルト発 〓 シュトゥットガルト州立劇場が新制作の《ラインの黄金》をライブ・ストリーミング

  3. ベルリン発 〓 ベルリン・フィルがコンサート形式による《マゼッパ》をストリーミング配信

  4. ボン発 〓 ベートーヴェン・フェスティバルが2021年のスケジュールを発表

  5. ブレーマーハーフェン発 〓 市立劇場が音楽総監督のマルク・ニーマンとの契約を延長

  6. ザルツブルク音楽祭 〓 2021年版の公式トレーラーをUP

  7. ミュンヘン発 〓 バイエルン州立歌劇場が2021/2022シーズンの公演ラインナップを発表

  8. バイロイト発 〓 バイロイト音楽祭の《ワルキューレ》でヴォータン役のトマス・コニエチュニーが怪我で途中降板

  9. ハンブルク発 〓 名門ホール「ライスハレ」が使っていないパイプ・オルガンを入れ替え

  10. ベルリン発 〓 レコード賞「オーパス・クラシック」の年度賞発表、バッティストーニ &東京フィル、宮田大の録音も授賞

  11. ハンブルク発 〓 ハンブルク交響楽団がマルタ・アルゲリッチとの公演をライブ配信

  12. ミュンヘン発 〓 バイエルン放送響が2020/2021シーズンの公演ラインナップを発表

  13. リューベック発 〓 市立劇場が音楽総監督シュテファン・ヴラダーとの契約を延長

  14. ミュンヘン発 〓 青木尚佳がミュンヘン・フィル初の女性コンサートマスターとしてデビュー

  15. ベルリン発 〓 ベンゲロフがストリーミング・サービスを開始

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。