ドイツのバイロイト音楽祭(Bayreuther Festspiele)が2024年のスケジュールを発表した。シモーネ・ヤングが音楽祭にデビューを飾り、音楽祭史上初めて《ニーベルングの指環》を指揮する女性指揮者となることが明らかになり、再登板するナタリー・シュトゥッツマンとオクサーナ・リーニフを合わせて女性が3人となり、男性指揮者の数を上回るということになった。
発表によると、第112回の音楽祭となる2024年は7月25日から8月27日までの開催で、セミヨン・ビシュコフの指揮による新制作の《トリスタンとイゾルデ》で開幕する。《ニーベルングの指環》以外に《パルジファル》がパブロ・エラス=カサド、《タンホイザー》がシュトゥッツマン、《さまよえるオランダ人》がリーニフの指揮で再演される。
ヤングはオーストラリア・シドニー生まれの62歳。ニューサウス・ウェールズ州音楽院で作曲、指揮、ピアノを専攻。1985年にシドニー・オペラハウスで指揮者デビューを果たし、1986年に「オーストラリア最優秀新人賞」を受賞してドイツへ留学した。ケルン市立オペラでジェームズ・コンロンに、ベルリン州立オペラでダニエル・バレンボイムに師事している。
1993年に女性指揮者として初めてウィーン国立歌劇場で指揮。その後、ノルウェーのベルゲン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者(1998ー2002)、オペラ・オーストラリアの首席指揮者(2001ー2003)を歴任。2000年のシドニー五輪では開会式の国歌演奏をシドニー交響楽団を指揮して行っている。
女性初ということでは、ハンブルク州立オペラの総監督もそうで(2005ー2010)、2005年にウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮した初の女性指揮者でもある。2024年の《ニーベルングの指環》は元々、指揮者にウィーン国立歌劇場の音楽監督を務めるフィリップ・ジョルダンが予定されていたが、彼がキャンセルしたことで、ワーグナーを得意としてきたヤングが急きょ起用されたという。
作曲家ワーグナーが自ら創設し、他の作品だけを上演してきた音楽祭は2026年に150周年を迎える。ワーグナーのファン“ワグネリアン”にとっては“聖地”で、これまで世界的にチケットの争奪戦が繰り広がられてきたが、昨年は来場者が58,000人超で、史上初めてチケットが(全31公演のうちの3%が)売れ残るという事態に見舞われた。
写真:Sydney Symphony Orchestra
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バイロイト発 〓 シモーネ・ヤングが音楽祭デビュー、音楽祭史上初めて《ニーベルングの指環》を指揮する女性指揮者に
2024/01/11
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