イタリア政府が“オペラ王”、作曲家のジュゼッペ・ヴェルディが約50年暮らしたサンターガタの旧居を取得することになった。ジェンナーロ・サンジュリアーノ文化相が先週、下院議会で表明したもの。旧居は昨年まで美術館として運営されていたが、相続をめぐって閉鎖され、競売に掛けられる危機に陥っていた。
サンターガタは北イタリアのパルマ近くの小さな街で、ピアチェンツァ、クレモナを結ぶ三角形の真ん中に位置する。旧居はヴェルディは1848年に取得し、1851年から1901年に亡くなるまで居を構えた。元々は両親のために所得したが、母の死後、二人目の妻となるジュゼッピーナ・ストレッポーニと移り住んだ。
転居後、ヴェルディは本館の両側に自ら設計した2棟を増築、温室、礼拝堂、馬車小屋、レモン畑や池が造られ、ジュゼッピーナの好きなモクレンの花をはじめとする植栽も整えられた。ここから《椿姫》から《イル・トロヴァトーレ》、《運命の力》、《ドン・カルロ》、《アイーダ》、《ファルスタッフ》がここから世に送り出された。
競売のニュースが流れた時点で、イタリアでは音楽家たちが競売への懸念を表明。指揮者のリッカルド・ムーティは新聞の取材に「ヴェルディはダンテやレオナルドのようなもので、彼のヴィラが個人の手に渡ることは考えられない。旧居は文化の聖地である」と訴えていた。
イタリアでの報道をまとめると、文化省は取得財源確保のために「ビバ! ヴェルディ」と名付けたキャンペーンを提起、これにスカラ座など14の団体が呼応、チャリティー公演を行ってその収益を“基金”に拠出する。キャンペーンは2月のアレーナ・ディ・ヴェローナの《アイーダ》で幕を開け、スカラ座が6月の《マクベス》で締め括る。
2月10日
アレーナ・ディ・ヴェローナはフランコ・ゼッフィレッリ演出の《アイーダ》を上演。マッシミリアーノ・ステファネッリ指揮、モニカ・コネサ、イワン・マグリ、ケテバン・ケモクリッツェ、パク・ヨンジュン、アントニオ・ディ・マッテオらが出演。
2月14日
ローマ歌劇場は《レクイエム》を上演。指揮はミケーレ・マリオッティで、エレナ・スティッキナ、ステファン・ポップ、ギオルギ・マノシュヴィリが出演する。
2月23日
トリノのテアトロ・レッジョは、ウィリアム・フリードキン演出の《アイーダ》。指揮はミケーレ・ガンバで、アンジェラ・ミード、シルビア・ベルトラーミ、ゲヴォルグ・ハコブヤン、エフゲニー・スタヴィンスキー、マルコ・ミミカらが出演する。
2月26日
ボローニャ劇場がダニエル・オーレンの指揮によるガラ・コンサート「Gala Verdiano」を開催。ソリストはラトニア・ムーア、ルチアーノ・ガンチら。
3月16日
ヴェネチアのフェニーチェ歌劇場がアンドレア・ベルナルドの演出による《エルナーニ》を上演。リッカルド・フリッツァの指揮で、ピエロ・プレッティ、エルネスト・ペッティ、ミケーレ・ペルトゥーシ、アナスタシア・バルトリらが出演。
3月28日
ジェノヴァのカルロ・フェリーチェが《二人のフォスカリ》を上演する。演出はアルビス・ ヘルマニスで、指揮はレナート・パルンボ。フランコ・ヴァッサーロ、ファビオ・サルトーリ、アンジェラ・ミード、リッカルド・ファッシらの出演。
3月31日
カリアリ・オペラ劇場が、ヴェルディとチャイコフスキーのオーケストラ作品を演奏するコンサートを開催する。ジャウマ・サントンハの指揮。
4月18日
パレルモのマッシモ歌劇場がヴェルディの音楽を使った「Le allegre Comari di Falstaff」を上演する。
4月19日
トリエステ歌劇場がダニエラ・バルチェローナを迎えるコンサートを開催。
4月20日
パーリのペトゥルッツェッリ劇場は《アッティラ》を上演。出演はマルコ・ミミカ、マリア・トマッシ、クロジャン・カカニら。
5月7日
ナポリのサン・カルロ劇場で、アンナ・ピロッツィとフレディ・デ・トマーゾが出演するコンサートを開催する。指揮はジャコモ・サグリパンティ。
5月10日
フィレンツェ歌劇場がヴェルディの序曲とバレエをフィーチャーしたコンサートを開催。指揮は音楽監督のダニエレ・ガッティ。
5月26日
ローマのサンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団がヴェルディをテーマにしたコンサートを開催。
6月15日
スカラ座がキャンペーンを締め括る形で《マクベス》を上演する。指揮はジャンパオロ・ビザンティ。出演はルカ・サルシ、エカテリーナ・セメンチュク、ファビオ・サルトーリら。
写真:Villa Verdi
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