訃報 〓 佐藤陽子(72)日本のヴァイオリニスト

2022/08/03
【最終更新日】2023/02/05

国際的なヴァイオリニスト、佐藤陽子が7月19日、静岡県熱海市内の病院で亡くなった。肝臓がんと闘病していたという。72歳だった。レオニード・コーガン、ヨーゼフ・シゲティという二人の大家に師事したヴァイオリニストとして活動する一方、マリア・カラスに師事して声楽家としても活躍、エッセイストとしても活躍した。

福島市生まれ。3歳からヴァイオリンを始め、1958年に来日中のコーガンに才能を認められ、翌年から旧ソ連政府の給費留学生として留学、モスクワ音楽院附属学校でコーガンに師事した。16歳だった1966年、チャイコフスキー国際コンクールで第3位を受賞して一躍注目を集めた。

その後、モスクワ音楽院に進み、1969年のロン=ティボー国際コンクールでは第3位を獲得した。1971年にモスクワ音楽院を首席で卒業した後は渡仏してシゲティの下で研鑽を積み、1972年のパガニーニ国際コンクールで第2位を獲得した。

その後、カラスに師事してソプラノ歌手としての活動も始め、1975年にルーマニアのブカレスト国立歌劇場で《蝶々夫人》のタイトルロールを歌ってデビューして話題をさらった。1976年に帰国し、演奏活動のかたわら、エッセー集「音楽のある街角」を刊行するなど、エッセイストとして文筆業にも取り組んだ。

私生活では1973年、パリで出逢った外交官の岡本行夫と結婚。しかし、世界的な版画家、陶芸家で芥川賞受賞作家の池田満寿夫とローマで運命的な出会いをしたことが原因で1979年に離婚した。

1980年には池田との結婚を宣言、1982年には熱海に居を移し、二人の名前を取った「満陽工房」を起ち上げた。テレビ番組やCMにも二人で出演するなど、おしどり夫婦として知られた。

写真:遺族提供


関連記事

  1. パリ発 〓 指揮者のドゥダメルにフランス政府の「芸術文化勲章」オフィシエ章

  2. ハノーファー発 〓 州立劇場が2024/2025シーズンの公演ラインナップを発表、第2カペルマイスターの熊倉優が新制作の2作品を指揮

  3. モスクワ発 〓 ボロディン弦楽四重奏団の新リーダーにニコライ・サチェンコ

  4. ロンドン発 〓 指揮者の山田和樹が英国の「ロイヤル・フィルハーモニック・ソサエティ・アワードを受賞

  5. エレバン発 〓 ハチャトゥリアン国際コンクールの指揮部門で出口大地が第1位

  6. 東京発 〓 ドミンゴとカレーラスが来年1月、日本で「三大テノール」偲んで「パヴァロッティに捧げるコンサート」

  7. オークランド発 〓 「ASBシアター」が「キリ・テ・カナワ劇場」に改名

  8. ヒューストン発 〓 ヒューストン響が音楽監督のユライ・ヴァルチュハとの契約を延長

  9. ボルチモア発 〓 マリン・オールソップがシーズン終了をもってボルティモア響の音楽監督を退任

  10. デュイスブルク発 〓 デュイスブルク・フィルの音楽監督にスイスのシュテファン・ブルニエ

  11. ドレスデン発 〓 ザクセン州立歌劇場が新シーズン、2023/2024シーズンの公演ラインナップを発表

  12. ヘルシンキ発 〓 ヘルシンキ・フィルの次期首席指揮者にユッカ=ペッカ・サラステ

  13. 訃報 〓 イゴール・オジム(92)スロヴェニア出身のヴァイオリニスト

  14. ドレスデン発 〓 ザクセン州立歌劇場が2021/2022シーズンの公演ラインナップを発表

  15. ミュンヘン発 〓 第73回「ミュンヘン国際音楽コンクール」が4部門の優勝者を発表

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。