訃報 〓 カラン・アームストロング(79)米国のソプラノ歌手

2021/09/30
【最終更新日】2023/02/06

米国のソプラノ歌手カラン・アームストロング(Karan Armstrong)が9月28日、地中海に面したスペイン南部マルベーリャで亡くなった。79歳だった。著名なドイツの演出家ゲッツ・フリードリッヒ(1930-2000)の夫人で、国際的なオペラ歌手として活躍した。

アームストロングはモンタナ州ハバー生まれで、コンコルディア大学で学んで1965年にサンフランシスコ・オペラで歌手デビュー。1966年にはカール・ベーム指揮のリヒャルト・シュトラウス《影のない女》にクリスタ・ルートヴィヒ、レオニー・リザネクと出演してニューヨーク・メトロポリタン歌劇場にデビューしている。

1974年にはフランスのストラスブールにあるラン国立オペラで、ビゼー《カルメン》のミカエラを歌ってヨーロッパにもデビュー。ラン国立オペラでは翌年、リヒャルト・シュトラウス《サロメ》を歌ってセンセーションな成功を収めている。

フリードリッヒとは1978年にドイツのシュトゥットガルト州立劇場の公演で出逢い、翌1979年にはバイロイト音楽祭にデビュー。そこでワーグナー《ローエングリン》でエルザを歌ってペーター・ホフマンと共演している。この時もフリードリッヒが演出を手掛けていた。

1981年に二人は結婚、フリードリッヒの三度目の夫人となった。その年、フリードリッヒがベルリン・ドイツ・オペラの総監督に就任したことで専属歌手となった。2016年にチャイコフスキー《エフゲニー・オネーギン》のラリーナを歌って舞台を離れるまで、劇場の“顔”として、24の役柄で400回以上出演している。

その後も、ウィーン国立歌劇場、パリ国立オペラ、ロンドンのロイヤル・オペラといった著名な歌劇場に出演を重ね、1985年にバーデン=ヴュルテンベルク州の、1994年にベルリン市から「宮廷歌手」の称号が贈られている。

リヒャルト・シュトラウスやワーグナー、ベルク、コーンゴールド、プーランク、ショスタコーヴィッチ、ワイルまで幅広いレパートリーを誇ったが、2009年に初めてドイツ・ロストックのフォルクス劇場でヴェルディ《椿姫》の演出を手掛けている。

写真:action press / United Archives GmbH


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