訃報 〓 ジョセフィン・ヴィージー(91)英国のメゾ・ソプラノ歌手

2022/02/24
【最終更新日】2023/02/06

英国のメゾ・ソプラノ歌手ジョセフィン・ヴィージー(Josephine Veasey)が22日、ホイットチャーチの自宅で亡くなった。91歳だった。英国の戦後第一世代を代表する歌手の一人で、国際的に活躍。ワーグナーやリヒャルト・シュトラウス、ベルリオーズの作品などを得意とした。

1930年、ロンドン南部ペッカムの生まれ。1949年にロイヤル・オペラの合唱団に加わり、1955年にリヒャルト・シュトラウス《サロメ》でオペラ・デビュー。1957年からはグラインドボーン音楽祭にもデビュー、《ウエルテル》のシャーロット、《薔薇の騎士》のオクタヴィアンなどで出演を重ねた。

持ち役はケルビーノ、ドラベッラ、エボリ皇女、アムネリス、カルメンなど。ベルカント・オペラでは、ジョーン・サザーランド、ルチアーノ・パヴァロッティと共演した《テンダのベアトリス》でアグネーゼを、モンセラート・カバリエ、ジョン・ヴィッカーズと共演した《ノルマ》でアダルジーザを歌っている。

また、音楽監督を務めるゲオルグ・ショルティに認められてワーグナー作品に取り組むようになり、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮の《ニーベルングの指環》の録音にフリッカ役で参加している。一方、ショルティの後継者コリン・デイヴィスとはベルリオーズの作品に取り組み、《トロイアの人々》のディド、《ファウストの劫罰》のマルグリートを持ち役とした。

ロイヤル・オペラ以外にパリ国立オペラやスカラ座、ウィーン国立歌劇場やメトロポリタン歌劇場など、世界の主要な歌劇場に出演しており、1962年にはマイケル・ティペット《プリアモス王》、1976年にはハンス・ヴェルナー・ヘンツェの《私たちは川に来た》などの初演に参加している。

オペラの舞台から引退したのは1982年で、デビュー時と同じロイヤル・オペラの《サロメ》の公演で、ヘロディアスを歌った。引退後は後進の指導に尽力。サリー・バージェス、フェリシティ・パーマー、アリソン・ピアスといった歌手たちを育てた。

写真:Royal Opera House





関連記事

  1. ドレスデン発 〓 フラウエン教会の「アドヴェント・コンサート」は無観客で

  2. キーウ発 〓 ウクライナ国立オペラがオペラ上演を再開

  3. ミラノ発 〓 スカラ座が新シーズンの概要を発表

  4. ラス・パルマス発 〓 「オペラ・ラス・パルマス」が2022シーズンのラインナップを発表

  5. 大阪発 〓 大阪交響楽団の次期常任指揮者に山下一史

  6. 東京発 〓 紀尾井ホール室内管弦楽団の次期首席指揮者にトレヴァー・ピノック

  7. ウィーン発 〓 ティーレマンが国立歌劇場でプフィッツナーの《パレストリーナ》を指揮して現場復帰

  8. サンフランシスコ発 〓 サンフランシスコ・オペラがオペラの衣装をオンラインで販売

  9. ロサンゼルス発 〓 ロサンゼルス・フィルの首席コンサートマスターを務めるマーティン・シャリフォーが2024/2025シーズンで退団

  10. ブリュッセル発 〓 モネ劇場が2020/2021シーズンの公演ラインナップを発表

  11. ケープタウン発 〓 若手歌手のための「オペラリア」、2023年は南アフリカのケープタウンで開催

  12. ミュンヘン発 〓 バイエルン州立オペラが2023/2024シーズンの公演ラインナップを発表

  13. ハノーファー発 〓 州立劇場が2024/2025シーズンの公演ラインナップを発表、第2カペルマイスターの熊倉優が新制作の2作品を指揮

  14. プラハ発 〓 プラハ交響楽団の次期首席指揮者にトマーシュ・ネトピル

  15. ワルシャワ発 〓 台湾政府がショパン国際ピアノ・コンクールに抗議、国名表記めぐり

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。