パリ発 〓 フランスの週刊風刺新聞が指揮者のフランソワ=グザヴィエ・ロトのセクハラ行為を告発

2024/05/23

フランスの週刊風刺新聞「カナール・アンシェネ」が指揮者のフランソワ=グザヴィエ・ロト(François-Xavier Roth)のセクハラ行為を告発する記事を掲載した。これを受けてシャンゼリゼ劇場は22日、「レ・シエクル」のコンサートの指揮者を、アドリアン・ペルションに交代させた。

報道によると、7人の音楽家がこの指揮者をセクハラで、1人の女性が性的暴行で告発。音楽監督を務めるドイツ・ケルンのギュルツェニヒ管弦楽団のメンバーからオーケストラの専務理事に宛てた、ロトが女性楽団員に性的暴行を加えたことを告発する手紙もあり、オーケストラ側はその存在を認めているという。

また、フランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターを務めていたヴァイオリニストのマリー=アニック・ニコラは「バーチャル・シャワー」に誘われたと告発しており、同様にロトから猥褻な写真を送り付けられた者もいるという。オーケストラ側は取材に対して、2019年にパリ市からロトについての疑惑を知らされていたことを認めている。ロトは取材に「親密なメッセージを送った」と認め、「もし行き過ぎたことをしてしまったのなら、傷つけたかもしれない人たちに謝りたい」と語っている。

ロトはパリ生まれの52歳。パリ高等音楽院で学んで指揮者として活動を始め、2003年には作曲年代に合わせて楽器を使い分けるオーケストラ「レ・シエクル」を創設。その活動で注目を集め、その後、国際的に活躍の場を広げている。

現在はケルン市の音楽総監督として(2024/2025シーズンの終わりまで)、ケルン市立歌劇場とそのピットにも入るギュルツェニヒ管を率い、ロンドン交響楽団の首席客演指揮者、フランス・トゥールコワンのアトリエ・リリックの芸術監督も務め、2025/2026年シーズンからドイツ・シュトゥットガルトを本拠地とするSWR交響楽団の首席指揮者兼芸術監督に就任することが決まっている。

写真:Salzburger Festspiele


関連記事

  1. アーヘン発 〓 市立劇場がカラヤンの胸像をホワイエから撤去

  2. シドニー発 〓 シドニー響が首席指揮者のシモーネ・ヤングとの契約を延長

  3. ロンドン発 〓 置き忘れたヴァイオリン、スティーブン・モリスに戻る

  4. パリ発 〓 ウィーン国立歌劇場の音楽監督を退任するフィリップ・ジョルダン、フランス国立管の首席指揮者に

  5. ロサンゼルス発 〓 マリア・カラスを演じたアンジェリーナ・ジョリー、「ゴールデン・グローブ」賞の主演女優賞の受賞逃す

  6. ヘルシンキ発 〓 シベリウス・コンクールがロシア人二人の参加を取消

  7. 訃報 〓 クリスティアーヌ・エダ=ピエール(88)フランスのソプラノ歌手

  8. ハンブルク発 〓 新しい「アルゲリッチ音楽祭」でデュトワはドイツに復帰

  9. ロサンゼルス発 〓 アカデミー賞授賞式の指揮台に初の女性指揮者

  10. 台北発 〓 市立響の首席指揮者にアレクサンダー・リープライヒ

  11. ノヴァーラ発 〓 再興「グィド・カンテルリ国際指揮者コンクール」で韓国のミンギュウ・ソンが優勝

  12. ニュルンベルク発 〓 州立劇場の次期音楽総監督にローランド・ベーア、ヨアナ・マルヴィッツの後任

  13. プロヴディフ発 〓 ソプラノのソーニャ・ヨンチェヴァに名誉市民の称号

  14. ザルツブルク発 〓 1592年にオープンの老舗楽譜店が閉店

  15. マドリード発 〓 ポリーニが来年4月のスペイン・ツアーをキャンセル

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。