イタリアのテノール歌手ジュゼッペ・ジャコミーニ(Giuseppe Giacomini)が心臓発作で亡くなった。80歳だった。「Bepi」の愛称で親しまれ、力強くダイナミックな歌唱と端正な表現で一世を風靡、戦後を代表するテノーレ・ドラマティコとして国際的な活躍を続けた。
イタリア北部パドヴァ近郊のヴェッジャーノの生まれ。パドヴァの国立チェーザレ・ポッリーニ音楽院を首席で卒業後、バリトンからテノールに転身。ヴィオッティ・コンクールなど多くの国際コンクールで優勝し、1966年にプッチーニ《蝶々夫人》ピンカートン役でプロ・デビューを果たした。
1970年に入ると、海外の歌劇場に進出。1980年代になると、《アイーダ》のラダメス、《オテロ》のオテロ、《トスカ》のカヴァラドッシ、《道化師》のカニオなどで成功を収め、ドラマティック・テノールの第一人者として世界の主要歌劇場に出演を重ねた。
日本でも新国立劇場で《道化師》や《蝶々夫人》に出演、藤原歌劇団でも歌い、日本のオペラ・ファンも魅了している。2000年にオペラの舞台から引退したが、歌手活動は続け、2010年には天津音楽庁のオープニング・タイトルでリサイタルを行っている。この数年は脳梗塞を患っていた。
写真:iictokyo.com
この記事へのコメントはありません。