ベルリン発 〓 クラリネットのアンドレアス・オッテンザマーがベルリン・フィルを退団、指揮活動に集中するため

2025/01/29

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の首席クラリネット奏者アンドレアス・オッテンザマー(Andreas Ottensamer)がオーケストラを退団することを自身のSNSへの投稿で明らかにした。在籍14年となるが、2021年から取り組んでいる指揮者としての活動に集中するためという。

オッテンザマーはウィーン生まれの35歳。オーストリア・ハンガリー系で、父親のエルンスト(1955- 2017)は長くウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の首席クラリネット奏者を務め、兄のダニエルは現在、ウィーン・フィルの首席奏者を務める。

4歳でピアノ、10歳になるとウィーン国立音楽演劇大学でチェロを学び、2003年にクラリネットに転身。その間、ピアノ、チェロ、クラリネットで数々のコンクールに入賞。その後、ウィーン国立歌劇場管弦楽団、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、グスタフ・マーラー・ユーゲント・オーケストラでオーケストラ奏者として活動した。2009年、ハーバード大学在学中にベルリン・フィル・オーケストラ・アカデミーに入学。その後、21歳の若さでベルリン・フィルの首席奏者に就任した。

スター・クラリネット奏者として活躍の一方、室内楽奏者としても、マレイ・ペライアやレイフ・オヴェ・アンスネス、ヨーヨー・マらと共演している他、「アンサンブル・ウィーン=ベルリン」のメンバーとしても活動。また、スイスのビュルゲンシュトック音楽祭の芸術監督をピアニストのホセ・ガヤルドと共に務めている。

2021年のデビュー以来、指揮者としての活動を徐々に拡大。サイモン・ラトル、クリスティアン・ティーレマンらに学び、2023年の春には「東京・春・音楽祭」でリッカルド・ムーティの「イタリア・オペラ指揮アカデミー」に参加。2024年3月にはNHK交響楽団を指揮している。

投稿で本人は「この素晴らしいオーケストラと過ごした過去14年間は信じられないほど素晴らしいものでした。生涯忘れられない経験であり、音楽的なハイライトに満ちたものでした。ベルリン・フィルの音楽性、彼らの独特な音楽の作り方は、私の音楽的DNAの一部となっています。指揮者、そして音楽家として歩むこれからの道でも、それを携えていくことを誇らしく、また楽しみに思います」と語っている。

写真:Orchestre Métropolitain / François Goupil


関連記事

  1. ウィーン発 〓 アン・デア・ウィーン劇場が新制作のベートーヴェン《フィデリオ》を上演前にストリーミング配信

  2. 広島発 〓 広島響の次期音楽監督にクリスティアン・アルミンク

  3. デトロイト発 〓 デトロイト響の首席客演指揮者にノルウェーのタビタ・ベルグルンド

  4. ベルリン発 〓 クシシュトフ・ポロネクが正式にベルリン・フィルのコンサートマスターに

  5. ザルツブルク発 〓 ベルリン・フィルがザルツブルク復活祭音楽祭のレジデント・オーケストラに復帰

  6. アケルスベルガ発 〓 アップル・ミュージックが創立50周年迎えたスウェーデンの名門レーベル「BIS」を買収

  7. ニューヨーク発 〓 メトロポリタン歌劇場管が2021年の夏にヨーロッパ・ツアー

  8. フランクフルト発 〓 ジョナサン・ノットがユンゲ・ドイチェ・フィルとの契約を延長

  9. ザルツブルク発 〓 暴力事件で謹慎中のガーディナー、来夏のザルツブルク音楽祭で現場復帰か?

  10. ニューヨーク発 〓 メトロポリタン歌劇場が新シーズンの開幕に先立ち、「9.11同時多発テロ」犠牲者追悼コンサート

  11. ミュンヘン発 〓 バイエルン州立オペラが新制作の《こうもり》を大晦日にライブ・ストリーミング

  12. 訃報 〓 マルティン・トゥルノフスキー(92)チェコ出身の指揮者

  13. ケルン発 〓 フランソワ=グザヴィエ・ロトがケルン市の音楽総監督を退任、任期1年残して

  14. 訃報 〓 ハンス・シュタットルマイア(89)オーストリアの指揮者

  15. サバンナ発 〓 原田慶太楼が米国サバンナ・フィルハーモニックの音楽・芸術監督に

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。