訃報 〓 アンジェロ・ロ・フォレーゼ(90)イタリアのテノール歌手

2020/05/18
【最終更新日】2023/02/16

イタリアのテノール歌手アンジェロ・ロ・フォレーゼ(Angelo Lo Forese)が5月14日、老衰のためミラノで亡くなった。100歳だった。90歳を過ぎて高音の「ハイC」を披露して“奇跡のテノール”として話題を集めたことで知られる。

ミラノの生まれで、ミラノ音楽院でバス歌手として学び始めたが、第二次世界大戦の激化でスイスに移住。戦後、イタリアに戻って改めて声楽を学び、1948年に《道化師》のシルヴィオ役でバリトン歌手としてデビューした。

その後、アウレリアーノ・ペルティレ、エミーリオ・ギラルディーニに師事してテノールに転身。まず《イル・トロヴァトーレ》のマンリーコ役で大成功を収めた。以後、リリコ・スピントのテノールとして、ミラノ・スカラ座を中心に欧米、南米の主要な歌劇場に出演を重ねた。

先輩のマリオ・デル・モナコや同世代のジュゼッペ・ディ・ステーファノ、フランコ・コレッリと並んでイタリア・オペラの黄金期を支え、ヴェルディ、プッチーニ、ヴェリズモ・オペラまで幅広いレパートリーを誇った。「愛の妙薬」から「オテッロ」までテノールのすべての役を歌った唯一のテノール歌手としても知られる。

1961年には、「第3次イタリア歌劇団公演」で来日。《カヴァレリア・ルスティカーナ》でトゥリッドゥを歌い、ジュリエッタ・シミオナートと共演している。

再び脚光を浴びたのは、この10年ほど。弟子を前に見事な高音を出すレッスンの投稿動画が話題を集め、2009年、2012年に来日して元気なところを披露している。

2017年からミラノで彼の名を冠した声楽コンクールも行われていた。

写真:Loforese Competition











関連記事

  1. トロント発 〓 カナディアン・オペラ・カンパニーが総監督ペリン・リーチの退任を発表、3シーズンでの退任にさまざまな憶測

  2. 訃報 〓 フリードリヒ・チェルハ(96)オーストリアの作曲家

  3. 訃報 〓 ワルター・バリリ(100)オーストリア出身のヴァイオリニスト, ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の元コンサートマスター

  4. 訃報 〓 リナト・イブラギモヴァ(59)ロシア出身のコントラバス奏者、ロンドン交響楽団の元首席

  5. ベルリン発 〓 劇場とホールの閉鎖は4月中旬まで

  6. ブカレスト発 〓 指揮者のクリスティアン・マチェラルが母国のエネスク国際音楽祭の芸術監督に

  7. ロサンゼルス発 〓 2021年の「ゴールデングローブ賞」のノミネート作出揃う

  8. フライブルク発 〓 2021年の「ドイツ音楽コンクール」の受賞者決まる

  9. ロンドン発 〓 アントニオ・パッパーノ、ロンドン交響楽団の首席指揮者へ

  10. パリ発 〓 ガルニエ宮、バスティーユ歌劇場相次いで改修へ

  11. アムステルダム発 〓 オランダ政府がロックダウンを延長、2022年1月14日まで

  12. 東京発 〓 紀尾井ホール室内管が首席指揮者のトレヴァー・ピノックとの契約を延長

  13. ストラスブール発 〓 ストラスブール・フィルが音楽監督のアジス・ショハキモフとの契約を延長

  14. 東京発 〓 東フィルが2025シーズンの公演ラインナップを発表

  15. ミュンヘン発 〓 新しいホール建設に州政府がゴーサイン

    • 鈴木沙羅

    記事ご苦労様です。ありがとうございます。
    老衰でなくなりました。
    >その後、アウレリアーノ・ペルティレ、エミリオ・ジラルディーニに師事
    の箇所ですが、エミーリオ・ギラルディーニ と彼は発音していました。
    ジ を ギ に替えて頂ければより正確になります。

    >2012年には来日して元気なところを披露している。
    2009年にも招聘しておりますので、 2009年、2012年として頂ければ完璧です。
    鈴木沙羅

  1. この記事へのトラックバックはありません。