オーケストラによるストライキが続いていたシカゴのリリック・オペラが再開されることになった。土曜日に労使間で2020年/2021シーズンに関する新たな合意が締結された。17日の《ラ・ボエーム》から公演が再開される見通し。今回のストライキは9日からスタートしたもの。2018/2019シーズンを、6日に《ラ・ボエーム》で開幕した直後だった。昨年からの交渉で経営側は、オーケストラの規模を6人減らして74人から69人に縮小する、シーズンの長さを24〜22週間に短縮する方針を通告。これに組合側は、勤務時間の短縮により給与が8パーセント減となることに反発してストライキに突入した。
リリック・オペラはニューヨークのメトロポリタン気劇場、サンフランシスコ・オペラと並ぶ、全米三大歌劇場の一つ。3500超の客席数はメトロポリタン歌劇場に継ぐ第2の規模。開場は戦後の1954年で、こけら落としに《ドン・ジョヴァンニ》が上演された。世紀の歌姫マリア・カラスが米国で初めて歌ったのがリリック・オペラで、《ノルマ》に出演している。また、その直後に《蝶々夫人》に出演しているが、録音ではなく、蝶々さんを実際にステージで歌ったのは、この時が最初で最後となった。ただ、オペラ全体のマーケットが縮小する中で、かつて1シーズンに90回あったリリック・オペラの公演回数も、今シーズンは55回に減っている。
組合側は経営側の資料を使い、リリック・オペラが春のミュージカル公演を含めると、売上げが2012年の2,030万ドルから2017年の2696万ドルに増加(チケットの発売率は84)、それを受けて経営陣の年俸が2014年から2017年にかけて18%増加し、80万ドルを超えていること、その一方で組合員に賃下げを求めることへの説明を求めていた。組合側によると、組合員の年俸は最高で7万ドル強。
写真:Chicago Lyric Opera Orchestra
シカゴ発 〓 リリック・オペラのストライキが収束へ
2018/10/15
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