ストックホルム発 〓 ソプラノのバーバラ・ハンニガンが2025年の「ポーラー音楽賞」を受賞

2025/03/19

ソプラノ歌手、指揮者として活躍するバーバラ・ハンニガン(Barbara Hannigan)が2025年の「ポーラー音楽賞」を受賞した。今年の受賞者はハンニガンの他、英国のロックバンド「クイーン」、そして米国のピアニスト兼ジャズ・ミュージシャンのハービー・ハンコックの合計3名。授賞式は5月27日にストックホルムで行われる。

音楽賞は1989年、スウェーデンの人気グループ「ABBA」のマネージャー、作詞家を務め、音楽出版社を経営するスティグ・アンダーソン(Stig Anderson)によって創設された。賞の運営はスウェーデン王立音楽アカデミーが行っており、音楽界のノーベル賞との呼び名も高い。

1992年から毎年、クラシック・アーティストとポップスのミュージシャンに授与されている。賞金は100万スウェーデンクローナ(約1,490万円)。クラシック音楽分野では昨年、フィンランドの指揮者エサ=ペッカ・サロネンが受賞している。

ハンニガンはカナダ・ノバスコシア州ウェイバリー生まれの53歳。トロント大学卒業後、米国のラヴィニア音楽祭やオランダのハーグ王立音楽院で研鑽を積んだ。現代作品の第一人者で、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団などの著名なオーケストラと共演を重ね、90近い新作の世界初演に加わっている。

指揮者としての活動は2000年代後半から本格化。オランダを拠点とするアンサンブル、ルートヴィヒ管弦楽団を指揮、歌唱を担当したファースト・アルバム「Crazy Girl Crazy」が2018年に米国のグラミー賞を受賞している。また、2018/2019シーズンから、スウェーデンのエーテボリ交響楽団の首席客演指揮者を務めており、2026年からはアイスランド交響楽団の首席指揮者兼芸術監督に就任することが決まっている。

選考委員会は「常に限界を押し広げる準備ができている彼女は、選曲、演奏、録音する音楽で聴く人の視野を広げるという独特な才能の持ち主」と評価。「その強烈な音楽性とカリスマ性により、やがてオーケストラの指揮を任されるようになった。以来、彼女は独自のコンサート・プログラムで新旧の音楽を融合させることで高い評価を得ている。彼女が指揮をしながら歌うパフォーマンスは、誰もが忘れられない体験となる」としている。

写真:Göteborgs Symfoniker


関連記事

  1. ニューヨーク発 〓 音楽マネージメント大手コロンビア・アーティスツが経営破綻

  2. ボルドー発 〓 ミンコフスキがボルドー国立オペラとの契約を延長

  3. ストラスブール発 〓 ストラスブール・フィルが音楽監督のアジス・ショハキモフとの契約を延長

  4. 東京発 〓 第31回「高松宮殿下記念世界文化賞」音楽部門はアンネ=ゾフィー・ムター

  5. ミュンヘン発 〓 世界最大のビールの祭典「オクトーバーフェスト」も中止

  6. ミュンヘン発 〓 新しいホール建設に州政府がゴーサイン

  7. パリ発 〓 ミッコ・フランクがフランス放送フィルとの契約を延長

  8. フォートワース発 〓 ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールが開催延期を発表

  9. モスクワ発 〓 若手歌手のためのコンクール「オペラリア」が閉幕

  10. マリアーンスケー・ラーズニェ発 〓 “指揮者”ラデク・バボラークが西ボヘミア交響楽団の首席指揮者に

  11. ベルゲン発 〓 ベルゲン・フィルの首席客演指揮者にマーク・エルダー

  12. シアトル発 〓 シアトル響の音楽監督にシャン・ジャン

  13. クリーブランド発 〓 フランツ・ウェルザー=メストがクリーブランド管との契約を延長

  14. シュトゥットガルト発 〓 クルレンツィスが南西ドイツ放送響との契約を延長

  15. ウィーン発 〓 国立歌劇場がファン・ディエゴ・フローレスの降板でライブ・ストリーミングを中止

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。