古楽界の大御所ジョン・エリオット・ガーディナー(John Eliot Gardiner)と古巣のモンテヴェルディ管弦楽団&合唱団に“仁義なき戦い”を仕掛けて音楽界を騒然とさせている。昨年の暴力事件をめぐり、自ら創設した古巣から解任されたことを受け、新しいアンサンブルと合唱団を急きょ創設、しかも、古巣のヨーロッパ・ツアーに自身のツアーをぶつけるという過激さだ。
ガーディナーが新たに起ち上げたのは、「スプリングヘッド・コネクション」という団体で、その下に「コンステレーション管弦楽団」と「コンステレーション合唱団」が組織された。古巣のモンテヴェルディ管弦楽団&合唱団はこの冬、クリストフ・ルセをガーディナーの代役に迎えてのヨーロッパ・ツアーを行うが、ガーディナーは新しいアンサンブルのツアーをそこにぶつけている。
中でも、ハンブルクでは、12月14日に予定されていたモンテヴェルディ管弦楽団&合唱団のコンサートの1週間前の12月7日に新しいアンサンブルのコンサートが急きょ割り込んでくるという事態に。しかも、プログラムはまったく同じマルク=アントワーヌ・シャルパンティエとバッハの作品という具合で、ホール側はガーディナーを聴きたい聴衆向けにチケットの交換を認めることも行っている。
ガーディナーはケンブリッジ大学で音楽を学び、1964年にまずモンテヴェルディ合唱団を結成。続いて、1968年にはモンテヴェルディ管弦楽団、1978年にはそれを改組してイングリッシュ・バロック・ソロイスツに発展させ、1989年にはロマン派音楽のレパートリー開拓のため、レヴォリューショネール・エ・ロマンティーク管弦楽団を創設し、それらを創設者、指揮者として率いてきた。
しかし、昨年8月に若いテノール歌手を公演後に殴打する事件を起こし、謹慎中のこの7月、古巣から解任された。ガーディナーは新しいアンサンブルに旧知のメンバーの引き抜きも行っているとされ、古巣に対する81歳の大御所の振る舞い、露骨な嫌がらせ行為に音楽業界内では落胆の声が上がっている。
写真:NPO Klassiek / Chris Lee
ハンブルク発 〓 ガーディナーが新アンサンブル起ち上げ、同じ会場で古巣より1週間早くコンサートを開催、しかも、同じプログラムで
2024/09/11
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