ハンブルク発 〓 ガーディナーが新アンサンブル起ち上げ、同じ会場で古巣より1週間早くコンサートを開催、しかも、同じプログラムで

2024/09/11

古楽界の大御所ジョン・エリオット・ガーディナー(John Eliot Gardiner)と古巣のモンテヴェルディ管弦楽団&合唱団に“仁義なき戦い”を仕掛けて音楽界を騒然とさせている。昨年の暴力事件をめぐり、自ら創設した古巣から解任されたことを受け、新しいアンサンブルと合唱団を急きょ創設、しかも、古巣のヨーロッパ・ツアーに自身のツアーをぶつけるという過激さだ。

ガーディナーが新たに起ち上げたのは、「スプリングヘッド・コネクション」という団体で、その下に「コンステレーション管弦楽団」と「コンステレーション合唱団」が組織された。古巣のモンテヴェルディ管弦楽団&合唱団はこの冬、クリストフ・ルセをガーディナーの代役に迎えてのヨーロッパ・ツアーを行うが、ガーディナーは新しいアンサンブルのツアーをそこにぶつけている。

中でも、ハンブルクでは、12月14日に予定されていたモンテヴェルディ管弦楽団&合唱団のコンサートの1週間前の12月7日に新しいアンサンブルのコンサートが急きょ割り込んでくるという事態に。しかも、プログラムはまったく同じマルク=アントワーヌ・シャルパンティエとバッハの作品という具合で、ホール側はガーディナーを聴きたい聴衆向けにチケットの交換を認めることも行っている。

ガーディナーはケンブリッジ大学で音楽を学び、1964年にまずモンテヴェルディ合唱団を結成。続いて、1968年にはモンテヴェルディ管弦楽団、1978年にはそれを改組してイングリッシュ・バロック・ソロイスツに発展させ、1989年にはロマン派音楽のレパートリー開拓のため、レヴォリューショネール・エ・ロマンティーク管弦楽団を創設し、それらを創設者、指揮者として率いてきた。

しかし、昨年8月に若いテノール歌手を公演後に殴打する事件を起こし、謹慎中のこの7月、古巣から解任された。ガーディナーは新しいアンサンブルに旧知のメンバーの引き抜きも行っているとされ、古巣に対する81歳の大御所の振る舞い、露骨な嫌がらせ行為に音楽業界内では落胆の声が上がっている。

写真:NPO Klassiek / Chris Lee


関連記事

  1. ミラノ発 〓 スカラ座の次期総裁にフェニーチェ劇場総裁のフォルトゥナート・オルトンビーナ

  2. 訃報 〓 イヴォ・マレク(94)フランスの作曲家

  3. 北京発 〓 フィラデルフィア管が中国ツアーをスタート

  4. チューリッヒ発 〓 トーンハレ管が音楽監督のパーヴォ・ヤルヴィとの契約を延長

  5. マルセイユ発 〓 マルセイユ・オペラの次期音楽監督にイタリアの指揮者ミケーレ・スポッティ

  6. ロンドン発 〓 指揮者のジャン・レイサム=ケーニックが児童に対する性犯罪の疑いで逮捕された

  7. ハノーファー発 〓 州立劇場が2024/2025シーズンの公演ラインナップを発表、第2カペルマイスターの熊倉優が新制作の2作品を指揮

  8. トゥール発 〓 サントル=ヴァル・ド・ロワール交響楽団の首席客演指揮者にベネズエラの女流指揮者グラス・マルカーノ

  9. パレルモ発 〓 マッシモ劇場が2022/2023シーズンの公演ラインナップを発表

  10. アムステルダム発 〓 ロイヤル・コンセルトヘボウ管の第8代首席指揮者にクラウス・マケラ

  11. ノヴァーラ発 〓 名門「グイード・カンテルリ国際指揮者コンクール」が復活

  12. デトロイト発 〓 デトロイト響の次期音楽監督にヤデル・ビニャミーニ

  13. ラス・パルマス発 〓 グラン・カナリア・フィルが首席指揮者兼芸術監督のカレル・マーク・チチョンとの契約を延長

  14. ベルリン発 〓 ベルリン・フィルの「ヨーロッパ・コンサート」、2025年の指揮者はムーティ

  15. ザルツブルク発 〓 復活祭音楽祭、2023年のオペラはカウフマン主演の《タンホイザー》。レジデント・オーケストラにアンドリス・ネルソンス率いるライプツィヒ・ゲヴァントハウス管

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。