ニューヨーク発 〓 ネトレプコの米国復帰めぐり、メトロポリタン歌劇場のゲルブ総裁と本人が応酬

2024/08/02

ソプラノ歌手のアンナ・ネトレプコ(Anna Netrebko)が6年ぶりに米国で公演を行うことを発表したことに対し、メトロポリタン歌劇場のピーター・ゲルブ(Peter Gelb)総裁が「ニューヨーク・タイムズ」紙上で批判を繰り広げた。ネトレプコは2025年2月にパームビーチ・オペラでリサイタルを行って米国に復帰する予定。

総裁はロシアのウクライナへの武力侵攻後、過去にプーチン大統領を支持したことを理由にネトレプコの以後の出演を取り消している。ネトレプコが3度にわたって戦争を非難したことに対しても、それでは不十分として1年以上にわたって批判を続け、本人から名誉毀損と契約違反で訴えられて現在も係争中。

取材に対してゲルブは、復帰報道に「不幸な決断」と明言、「彼女がロシアの戦争から距離を置こうとする不誠実な努力をしていると感じた」と語った。また、ネトレプコがメトロポリタン歌劇場に復帰する唯一の条件について「ウクライナのためになるのであれば、明日にでもメトロポリタン歌劇場でリサイタルを歌うことができる」と述べている。

これに対し、ネトレプコ側もすぐに応酬。マネージャーのミゲル・エステバンが「ニューヨーク・タイムズ」紙に対して「アンナ・ネトレプコは、メトロポリタン歌劇場への復帰の誘いを喜んで検討するでしょう、現総裁の退任後に」とするメールを送ったことを明らかにしている。

写真:Salzburger Osterfestspiele / Franz Neumayr


関連記事

  1. パリ発 〓 レジス・パスキエの愛器1736年製「グァルネリ・デル・ジェス」が競売に、推定落札価格は5億円超

  2. リヨン発 〓 ソプラノのナタリー・デセイ、2025年をもってクラシック音楽界からの引退を発表

  3. マドリッド発 〓 テアトロ・レアルが新制作のプッチーニ《トスカ》をストリーミング配信

  4. ベオグラード発 〓 準・メルクルの投稿、思わぬ波紋

  5. デュッセルドルフ発 〓 作曲家メンデルスゾーンの銅像の修復工事終了

  6. マルセイユ発 〓 マルセイユ・オペラの次期音楽監督にイタリアの指揮者ミケーレ・スポッティ

  7. 訃報 〓 ルイス・デ・パブロ(91)スペインの作曲家

  8. ベルリン発 〓 カウンターテナーのヨッヘン・コヴァルスキが引退

  9. ベルリン発 〓 ベルリン・シュターツカペレが11月のヨーロッパ・ツアーを中止

  10. チューリッヒ発 〓 チューリッヒ歌劇場が新シーズン、2022/2023シーズンの公演ラインナップを発表

  11. トゥールーズ発 〓 トゥガン・ソヒエフがキャピトル国立管との契約を延長

  12. ウィーン発 〓 国立歌劇場の「オーパンバル」、ハーディングの代役にコンロン

  13. バーミンガム発 〓 財政破綻のバーミンガム市が市立交響楽団に対する年間約1億2,000万円の補助金を2025年に全額カット

  14. ロンドン発 〓 ピアニストの内田光子に「ウィグモア・ホール・メダル」

  15. 訃報 〓 ブラムウェル・トーヴィー(69)英国の指揮者

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。