シカゴ発 〓 シカゴ響が「ムーティ最後のシーズン」2022/2023シーズンの公演ラインナップを発表、注目集める客演指揮者

2022/03/30
【最終更新日】2022/07/14

シカゴ交響楽団が新シーズン、2022/2023シーズンの公演ラインナップを発表した。新シーズンはこの7月で81歳を迎え、2010年から音楽監督を務めてきたリッカルド・ムーティ(Riccardo Muti)にとって最後のシーズン。新シーズンには次期音楽監督の候補者が招かれるとみられ、客演指揮者の顔ぶれが注目を集める。

新シーズンの開幕と閉幕はムーティの指揮で、開幕はイェフィム・ブロンフマンを迎えるブラームスのピアノ協奏曲第1番、チャイコフスキーの交響曲第2番《小ロシア》。音楽監督最後のコンサートは、ベートーヴェンの《ミサ・ソレムニス》で、エリン・モーリー、アリサ・コロソヴァ、ジョヴァンニ・サラ、イルダル・アブドラザコフが出演する。

注目される客演指揮者は、クリスティアン・ティーレマン、シャン・ジャン=張弦、エドワード・ガードナー、マンフレート・ホーネック、ダリア・スタセヴスカ、ブラムウェル・トーヴィー、マリン・オールソップ、ラハフ・シャニ、クラウス・マケラ、ヘルベルト・ブロムシュテット、オスモ・ヴァンスカ、トーマス・ウィルキンス、ベルナール・ラバディ、トーマス・アデス、ミッコ・フランク、ファビアン・ガベル、ウラディーミル・ユロフスキ、ジョヴァンニ・アントニーニ、ダーヴィト・アフカム、ヤクブ・フルシャという顔ぶれが顔を揃える。

シカゴ交響楽団の次期音楽監督をめぐる米国の報道では、このうちホーネック、オールソップ、フルシャの名前がこれまで取り沙汰されてきた。新シーズンで、ホーネックはショスタコーヴィチの交響曲第5番他を指揮。オールソップはオーケストラが作曲委嘱したジュリア・ウルフの《彼女の物語》、フルシャはシーズン終盤にマーラーの交響曲第9番を振る。

ただ、今回の発表を受け、新たにティーレマン、ガードナー、シャニ、マケラ、フランク、ユロフスキがレースに加わるという見方も急浮上している。

中でも、米国での指揮が約20年ぶりというティーレマンの客演が注目を集める。シカゴ交響楽団への客演が、彼の米国オーケストラ・デビューだったという縁もある。1993年のことで、クラウス・テンシュテットの代役としてその指揮台に立った。

また、2020年末でバイロイト音楽祭の音楽監督を、2023/2024シーズンをもってシュターツカペレ・ドレスデンの首席指揮者を退任と、これまでに比べて時間が生まれるという状況にある。新シーズンはブルックナーの交響曲第8番を指揮する。

一方、ユロフスキも2010年にシカゴ交響楽団にデビューして好評を博しており、新シーズンでショスタコーヴィチの交響曲第7番を指揮する。現在はバイエルン州立オペラの音楽監督(2021-)、ベルリン放送交響楽団の音楽監督(2017-)を務める。ただ、ロシアのスヴェトラーノフ記念ロシア国立交響楽団の首席指揮者は2020/2021シーズンで退任、少し時間的な余裕が生まれた。

写真:NCPA / Chicago Symphony Orchestra / Todd Rosenberg


    もっと詳しく ▷


関連記事

  1. チューリッヒ発 〓 チューリッヒ歌劇場が新製作の《サロメ》をライブ・ストリーミング

  2. マドリード発 〓 スペインの国営郵便局がビクトリア・デ・ロス・アンヘレス、アリシア・デ・ラローチャの肖像を使った切手を発売

  3. ゲント発 〓 フランダース・オペラの音楽監督にステファン・ジリアス

  4. ミラノ発 〓 ウクライナ領事、スカラ座に《ボリス・ゴドノフ》の上演取り止めを要請

  5. 訃報 〓 アレクサンドル・ブズロフ(38)ロシアのチェロ奏者

  6. 訃報 〓 大町陽一郎(90)日本の指揮者

  7. 東京発 〓 新国立劇場がストリーミング配信のための新しいプラットフォーム開設

  8. フィラデルフィア発 〓 フィラデルフィア管が「男性メンバーの燕尾服着用をやめる」

  9. ポズナン発 〓 スタニスワフ・モニューシュコ大劇場が新制作の《幽霊屋敷》の初日9日の公演をライブ・ストリーミング

  10. トゥールーズ発 〓 トゥガン・ソヒエフがキャピトル国立管との契約を延長

  11. プラハ発 〓 チェコ・フィルが聴衆なしのコンサートをストリーミング配信

  12. ロンドン発 〓 ヴァイオリンのヒラリー・ハーンが11月までの出演をすべてキャンセル

  13. ボルドー発 〓 ボルドー国立オペラの次期芸術総監督にエマニュエル・オンドレ、マルク・ミンコフスキは退任

  14. ハンブルク発 〓 フィンランドの俊英タルモ・ペルトコスキが老舗レーベル「ドイツ・グラモフォン」と契約

  15. ハノーファー発 〓 州立劇場が2024/2025シーズンの公演ラインナップを発表、第2カペルマイスターの熊倉優が新制作の2作品を指揮

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。