訃報 〓 フランコ・ファンティーニ(99)イタリアのヴァイオリン奏者, スカラ座管弦楽団の元コンサートマスター

2024/04/08

約40年にわたってスカラ座管弦楽団のコンサートマスター、ソロ・ヴァイオリニストを務めたフランコ・ファンティーニ(Franco Fantini)が4月2日に亡くなった。99歳だった。

ミラノ音楽院でエンリコ・ポロとミケランジェロ・アバドにヴァイオリンを師事した後、1942年に17歳でスカラ座管弦楽団に第1ヴァイオリン奏者として入団。1954年にコンサートマスターに就任、1993年までヴィクトル・デ・サバタ、アルトゥーロ・トスカニーニ、クラウディオ・アバド、ヘルベルト・フォン・カラヤン、カルロ・マリア・ジュリーニ、ジャナンドレア・ガヴァッツェーニ、リッカルド・ムーティ、リッカルド・シャイーといった蒼々たる指揮者と共演を重ねた。

スカラ座は第2次大戦末期、連合軍の空襲で建物が破壊されたが、市民らがその再建に奔走。1946年5月11日にはトスカニーニの指揮で再開コンサートを行っているが、その時も演奏している。1960年11月2日、ディミトリス・ミトロプーロスがマーラーの交響曲第3番第2楽章のリハーサル中に心臓発作を起こして急逝した時のことを、回想録『スカラ座での人生』の中で「その朝、彼は私たちを一人ずつ出迎えた。彼はリハーサルを始めたのですが、数小節を終えた後、生気を失って倒れてしまったのです」と回想している。

また、アンジェロ・エフリキアン指揮ミラノ・ソリスティ、アバド指揮スカラ座ソリスティ、アンジェロ・ステファナート指揮のローマ・ヴィルトゥオージにも所属。スカラ座カルテットの第1ヴァイオリンを15年間務めた。まさに生き字引的存在で、スカラ座はファンティーニが90歳を迎えた2015年、誕生日にヴェルディ《アイーダ》を上演、その誕生日を祝っている。

シャイーは彼の回想録に序文を寄せ、「音楽を特徴づけるような深遠かつ長期にわたる芸術的共同作業では、一拍一拍、何時間にもわたって音楽と触れ合う必要がある」と強調、「生涯を通じて蓄積された経験によって教養を身につけた、このような専門的で信頼できる相棒に頼ることができることは、指揮者にとって絶対的に重要な支えであった」と述べている。

写真:Teatro alla Scala


関連記事

  1. サンフランシスコ発 〓 マイケル・ティルソン・トーマスが脳腫瘍を取り除く手術に成功

  2. ロンドン発 〓 ユロフスキ指揮の《ニーベルングの指環》通し上演を断念、ロンドン・フィル

  3. ニューヨーク発 〓 映画『The Song of Names』、北米での公開始まる

  4. ニューヨーク発 〓 ハイフェッツの全盛期支えたストラディヴァリウスが75年ぶりにオークションに

  5. 上海発 〓 第3回「上海アイザック・スターン国際ヴァイオリン・コンクール」がセミ・ファイナリスト13人を発表

  6. グラインドボーン発 〓 代役の呼び寄せに音楽祭がヘリコプターを手配、老舗の貫禄

  7. ロンドン発 〓 指揮者のジャン・レイサム=ケーニックに14カ月の実刑判決、児童と性的コミュニケーションを取ろうとした3つの罪状で

  8. イスタンブール発 〓 パトリック・ハーンがトルコのボルサン・イスタンブール・フィルハーモニー管弦楽団の次期芸術顧問兼首席客演指揮者に

  9. 訃報 〓 アンネローゼ・シュミット(85)ドイツのピアニスト

  10. ロッテルダム発 〓 ロッテルダム・フィルもゲルギエフとの「関係を終了」と発表

  11. ブリュッセル発 〓 モネ劇場が新しい公演スケジュールを発表

  12. ウィーン発 〓 ウィーン・フィルの今年のサマー・ナイト・コンサートの指揮はアンドリス・ネルソンス

  13. 東京発 〓 東フィルが2024シーズンのラインナップを発表

  14. ケルン発 〓 ケルン市立歌劇場が新シーズン、2023/2024シーズンの公演ラインナップを発表

  15. ミラノ発 〓 スカラ座が「平和のためのコンサート」開催、ウクライナへの連帯を表明

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。