米国のチェロ奏者、リン・ハレル(Lynn Harrell)が27日に亡くなった。76歳だった。ヴァイオリニストの妻がソーシャルメディアで明らかにしたが、死因は明らかにされていない。
クリーブランド管弦楽団の首席チェロ奏者を経て、世界的な活動を展開。ヴァイオリンのイツァーク・パールマン、ピアノのウラディミール・アシュケナージと共演した三重奏でグラミー賞を二度受賞している。
1944年、ニューヨークの生まれ。父親はメトロポリタン歌劇場のメンバーだったバリトン歌手、母親はヴァイオリニスト。ジュリアード音楽院でレナード・ローズ、カーティス音楽院でオーランド・コールに学んだ。
10代で父母を相次いで失い、18歳で父を知る指揮者のジョージ・セル(George Szell)に招かれてクリーブランド管に入団。カーネギー・ホールでソロ・デビューした1964年に首席奏者となり、1971年まで在籍した。1994年にはバチカンに招かれ、ホロコーストによるユダヤ人犠牲者のためのコンサートでブルッフの「コル・ニドライ」を演奏している。
演奏活動のかたわら後進の指導にも尽力。ロンドンの王立音楽院の学長をはじめ(1993-1995)、ジュリアード音楽院、クリーブランド音楽院、南カリフォルニア大学、ライス大学といった教育機関に加え、父親と縁の深いアスペン音楽祭、スイスのヴェルビエ音楽祭などでも多くの学生を指導した。
当初は1720年製のモンタニャーナを使ってきたが、ジャクリーン・デュ・プレが使用していた1673年製のストラディバリウスを購入して一時期使っていた。
写真:Lynn Harrell / The Colburn Music Academy
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