訃報 〓 リン・ハレル(76)米国のチェロ奏者

2020/04/29
【最終更新日】2023/02/16

米国のチェロ奏者、リン・ハレル(Lynn Harrell)が27日に亡くなった。76歳だった。ヴァイオリニストの妻がソーシャルメディアで明らかにしたが、死因は明らかにされていない。

クリーブランド管弦楽団の首席チェロ奏者を経て、世界的な活動を展開。ヴァイオリンのイツァーク・パールマン、ピアノのウラディミール・アシュケナージと共演した三重奏でグラミー賞を二度受賞している。

1944年、ニューヨークの生まれ。父親はメトロポリタン歌劇場のメンバーだったバリトン歌手、母親はヴァイオリニスト。ジュリアード音楽院でレナード・ローズ、カーティス音楽院でオーランド・コールに学んだ。

10代で父母を相次いで失い、18歳で父を知る指揮者のジョージ・セル(George Szell)に招かれてクリーブランド管に入団。カーネギー・ホールでソロ・デビューした1964年に首席奏者となり、1971年まで在籍した。1994年にはバチカンに招かれ、ホロコーストによるユダヤ人犠牲者のためのコンサートでブルッフの「コル・ニドライ」を演奏している。

演奏活動のかたわら後進の指導にも尽力。ロンドンの王立音楽院の学長をはじめ(1993-1995)、ジュリアード音楽院、クリーブランド音楽院、南カリフォルニア大学、ライス大学といった教育機関に加え、父親と縁の深いアスペン音楽祭、スイスのヴェルビエ音楽祭などでも多くの学生を指導した。

当初は1720年製のモンタニャーナを使ってきたが、ジャクリーン・デュ・プレが使用していた1673年製のストラディバリウスを購入して一時期使っていた。

写真:Lynn Harrell / The Colburn Music Academy





関連記事

  1. パリ発 〓 フランスの週刊風刺新聞が指揮者のフランソワ=グザヴィエ・ロトのセクハラ行為を告発

  2. マイニンゲン発 〓 州立劇場の次期音楽総監督は初のアルランド人、キリアン・ファレル

  3. パンプローナ発 〓 パンプローナに新しい音楽祭が誕生

  4. エレバン発 〓 ハチャトゥリアン国際コンクールの指揮部門で出口大地が第1位

  5. ロンドン発 〓 フルート界の大御所ジェームズ・ゴールウェイが純金のフルート3本を売却

  6. ジャクソン発 〓 グランドティトン音楽祭が音楽監督のドナルド・ラニクルズとの契約を延長

  7. 訃報 〓 ピーター・ゼルキン(72)米国のピアニスト

  8. パリ発 〓 米国のソプラノ歌手リセッテ・オロペサにフランス政府の「芸術文化勲章シュヴァリエ」

  9. パリ発 〓 「France Musique」が年末年始、パリ国立オペラによるワーグナー《ニーベルングの指環》4部作をストリーミング配信

  10. ウィーン発 〓 国立歌劇場のボグダン・ロシュチッチ総監督が契約を延長

  11. ミンスク発 〓 ベラルーシ国立オペラ管のコンサートマスターたちを反大統領派として解雇

  12. ロンドン発 〓 ロンドン・フィルの次期首席指揮者にエドワード・ガードナー

  13. トリノ発 〓 RAI国立交響楽団の首席客演指揮者にロバート・トレヴィーノ

  14. ペルミ発 〓 ペルミ・オペラ・バレエ劇場の次期音楽監督に29歳のミグラン・アガザニアン

  15. ウィーン発 〓 国立歌劇場、2月第1週のストリーミング配信のラインナップを発表

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。