訃報 〓 アリベルト・ライマン(88)ドイツの作曲家

2024/03/15

ドイツの作曲家アリベルト・ライマン(Aribert Reimann)が3月13日、ベルリンで亡くなった。88歳だった。シェイクスピアの『リア王』やカフカの『城』を題材にしたオペラで知られ、戦後のドイツ作曲界をリードしてきた一人。

ベルリン生まれで、合唱指揮者の父、オラトリオ歌手の母という家庭に育ち、ベルリン芸術大学でボリス・ブラッハーらに師事した。作曲、対位法、ピアノを学び、1959年にギュンター・グラスの台本によるバレエ作品などが初期の作品として知られる。

その後、ベルリン・ドイツ・オペラでコレペティトールを務めながら、バリトン歌手のディートリヒ・フィッシャー=ディースカウの伴奏者として知られるようになり、1970年代初頭にベルリン芸術アカデミーのメンバーに。1978年にはフィッシャー=ディースカウの提案にのって《リア王》を発表して一躍その名を知られるようになった。

その後、1983年から1998年にかけて母校で現代歌曲の教授を務め、1992年にはカフカの『城』を題材にしたオペラを発表。2010年には、ウィーン国立歌劇場の委嘱作品として、ギリシャ悲劇として名高い『王女メディア』の物語を題材にしたオーストリアの劇作家フランツ・グリルパルツァーの三部劇詩『金羊皮』第3部「メデア」を原作とした作品が上演されて話題をさらった。

ベルリン州功労勲章(1988年)、連邦功労十字章(1995年)、エルンスト・フォン・ジーメンス音楽賞(2011年)、ライフワークに対するドイツ演劇賞「ファウスト」(2018年)など受賞歴多数。

写真:Gaby Gerster


関連記事

  1. ベルリン発 〓 ベルリン・フィルのメンバーに初のトルコ人

  2. ミュンヘン発 〓 パーヴォル・ブレスリクにバイエルン州から「宮廷歌手」の称号

  3. ザールブリュッケン発 〓 指揮者のインキネンがザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルとの契約を延長

  4. ベルリン発 〓 ベルリン州立歌劇場が2020/2021シーズンの公演ラインナップを発表

  5. ライプツィヒ発 〓 国際バッハ・コンクールは2025年から毎年開催へ、毎年1部門を開催

  6. フランクフルト発 〓 ドイツの歌劇場再開は6月以降

  7. ミュンヘン発 〓 ドイツ・サッカー界の“皇帝”フランツ・ベッケンバウアーの追悼式でカウフマンが熱唱

  8. 訃報 〓 ハンス・ドレヴァンツ(91)ドイツの指揮者

  9. ミュンヘン発 〓 バイエルン州立オペラが12日まで公演をキャンセル、新型コロナウイルスの感染再拡大で

  10. ベルリン発 〓 ベルリン・フィルの新しいクラリネット奏者はともにスロベニア出身で同門という二人

  11. ロイトリンゲン発 〓 ヴュルテンベルク・フィルの首席指揮者にアリアーヌ・マティアク

  12. ミュンヘン発 〓 クリスティアン・ティーレマンがバイエルン放送交響楽団にデビュー

  13. 訃報 〓 ヘルムート・ヴィンシャーマン(101)ドイツの指揮者・オーボエ奏者

  14. ミュンヘン発 〓 ミュンヘン響の次期音楽監督にジョセフ・バスティアン

  15. ミュンヘン発 〓 第73回「ミュンヘン国際音楽コンクール」が4部門の優勝者を発表

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。