米国のバス・バリトン歌手ロバート・ヘイル(Robert Hale)が亡くなった。90歳だった。ワーグナーやリヒャルト・シュトラウスの作品をレパートリーの核にしながら、著名な歌劇場、音楽祭で国際的な活躍を展開。パワーで押し切るスタイルを避け、豊かな表現力を駆使、柔らかな表情を持ち味にオペラ・ファンの人気を集めた。
テキサス州カービルの出身で、ボストン大学とニューイングランド音楽院で学んだ。その後、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場のナショナル・カウンシルのオーディションで優勝している。オペラ・デビューは1967年で、ニューヨーク・シティ・オペラで《ラ・ボエーム》のコッリーネを歌っている。以後、ニューヨーク・シティ・オペラに10年間在籍、放送録音にも数多く参加した。
その後、国際的な舞台での活躍が続き、《ニーベルングの指環》のヴォータン/放浪者、《さまよえるオランダ人》のタイトルロール、《トスカ》のスカルピア、《サロメ》のヨカナーンなどを得意とした。また、後年になって、夫人でソプラノ歌手のジュリー・デイヴィスとのデュオ・コンサートで人気を博した。
録音にも数多く参加。ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮の《ニーベルングの指環》の録音をはじめ、クリストフ・フォン・ドホナーニ指揮の《さまよえるオランダ人》、ジョン・エリオット・ガーディナーとの《メサイア》やジュゼッペ・シノーポリ指揮のヴェルディのレクイエムなど、巨匠たちとの録音も多い。
写真:Metropolitan Opera
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