ダラス発 〓 ヴォータンの代役が出番ギリギリで会場到着

2018/05/22
【最終更新日】2018/05/23

18日のダラス交響楽団の公演で、代役の歌手が出番の7分前に会場に到着するという事件が発生した。ドタバタが起きたのは、コンサート形式で上演されたワーグナーの楽劇《ワルキューレ》の公演。2008年から音楽監督を務めてきたヤープ・ファン・ズヴェーデンが離任するに当たって企画されたお別れ公演の一つで、ヴォータン役にはマティアス・ゲルネがキャスティングされていた。ところが、ゲルネが体調を崩し、正午の時点で出演をキャンセル。オーケストラは開演まで6時間で急きょ代役を探す事態に陥った。

米国での報道によると、オーケストラはサンフランシスコ歌劇場で《ワルキューレ》公演のカヴァーに入っていたバス・バリトンのカイル・アルバートソンに出演を依頼。アルバートソンはすぐにウーバーのサービスを利用して空港に向かい、その車内で航空便を予約。ダラスの空港には副指揮者たちが車で待機、交響楽団の本拠地であるモートン・マイヤーソン・シンフォニー・センターまでの車中で、ズヴェーデンの指示などを伝えた。アルバートソンはスーツに着替えながらそれを聴いて流れを頭に叩き込んだという。

結局、ホールに着いたのは、第2幕の演奏開始7分前。アルバートソンは第2幕からステージに上がり、ヴォータンの有名なモノローグを歌った。アルバートソンの「ヴォータン・デビュー」はそのまま順調に進み、最後のカーテンコールではやんやの喝采を浴びたという。

Photo:Ben Torres / Dallas News

関連記事

  1. アムステルダム発 〓 ミヒャエル・ザンデルリングが代役でロイヤル・コンセルトヘボウ管にデビュー

  2. ブリュッセル発 〓 モネ劇場が好スタート、2018/2019シーズンが開幕

  3. シカゴ発 〓 ムーティ、ストライキの現場へ

  4. オランジュ音楽祭 〓 《セビリアの理髪師》を8月2日未明にストリーミング配信

  5. ヌスドルフ発 〓 作曲家ワーグナーの最後の孫が死去

  6. ザルツブルク発 〓 イースター音楽祭総裁のペーター・ルジツカに名誉カップ

  7. 東京発 〓 日本フィルの首席客演指揮者にシンガポール出身のカーチュン・ウォン

  8. ロサンゼルス発 〓 ドミンゴのセクハラ疑惑に対応二分

  9. ベネチア発 〓 フェニーチェ劇場が2019-20シーズンの公演ラインナップを発表

  10. 東京発 〓 吹奏楽の聖地「普門館」を吹奏楽関係者に開放、解体工事前の11月に

  11. ザルツブルク音楽祭 〓 ベルギーの若手歌手が「夜の女王」の代役で大成功

  12. [ 新作オペラFLASH 2018 ]バイロイト音楽祭 〓 ローエングリン

  13. ローマ発 〓 パッパーノがサンタ・チェチーリア管との契約を延長

  14. 東京発 〓 新国立劇場が2019/2020シーズンの公演ラインナップを発表

  15. ニューヨーク発 〓 作曲家ジョン・ウィリアムズが自作のスコアなどすべてを母校ジュリアード音楽院に寄贈

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。